NTTデータは8月22日、流通業と製造業を対象にした販売時点情報管理(POS)データ分析サービス「NPICLOUD」を発表した。月額2万円から利用できるという。10月から提供する。
NPICLOUDは、全国の食品スーパーマーケットから収集したPOSデータを分析して、クラウドで提供するビジネスインテリジェンス(BI)サービス。財団法人の流通経済研究所の流通分野での分析ノウハウを生かしている。
小売りや卸売り、メーカーの間では、店頭と市場の販売動向に基づいて消費者のニーズ、支店にあった売場計画を立てることが重要になっている。その手段として、市場全体のPOSデータの分析が有効だが、それぞれの現場では、POSデータを購入しても「分析の仕方が分からない」「分析結果からどのようなアクションを取ればいいのかが分からない」といった状況になり得ると指摘されている。
こうした状況に対して、NTTデータと流通経済研究所は2011年に安価にかつ簡易にPOSデータを提供するサービスを試験的に提供。中堅メーカーや流通業を中心に、予想を上回る利用があり、サービス継続の要望が多く寄せられたという。NPICLOUDは、そうした要望に応えたものになる。
NPICLOUDは、財団法人の流通システム開発センターが管理する「JICFS(ジクフス)商品分類」を最小単位とするカテゴリ単位で提供する。JICFSは、“醤油”や“日本茶”など市場に流通する各種製品を種類ごとに分類したもの。1カテゴリあたり月額2万円から利用できる。初期費用は不要。必要なカテゴリだけを選択して利用できる。複数カテゴリをまとめて、価格を抑えて提供するカテゴリパックも提供する。
BIエンジンとして「Dr.Sum EA」(ウイングアーク提供)を活用。バッチ処理基盤としてNTTデータの「LindaCloud for Hadoop」を活用する。ファーストユーザーとしてオール日本スーパーマーケット協会(AJS)にサービスを提供する。AJSに加盟する各社にサービスを提供するとともに、利用現場からの意見を集めて、より実務に使えるように強化していく。AJSからPOSデータを提供してもらい、より精度の高いPOSデータを提供すると説明している。
ユーザー企業が自社で使っている商品分類マスタをNPICLOUDにアップロードして、市場のPOSデータを独自の商品分類マスタで分析することも可能だ。自社のPOSデータをアップロードして比較分析することもできる。クロスABC分析や比較トレンド分析から、導入商品やカット商品の選定、課題のある商品の特定などに活用できるとメリットを強調している。
今後は、POSデータに顧客データが紐付いたデータ「ID-POS」を使用した「Frequent Shoppers Program(FSP)」を展開していく方針だ。FSPは、ID-POSから顧客の購買データをとらえて、最適なサービスを提供するマーケティング手法。NTTデータは、FSPでの顧客分析をはじめ、ソーシャルデータ、個人の行動データなども踏まえてサービスを拡充していくことを明らかにしている。