進化を遂げた「Windows 8」のセキュリティ - (page 2)

Patrick Lambert (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-08-24 07:30

Windows 8におけるセキュリティ強化の内容

 1つ目の強化策は「セキュアブート」である。これは、低水準のエクスプロイトや、ルートキットによる攻撃を防御するうえで役立つ機能となっている。基本的にセキュアブートはOSとUEFI(BIOS)の橋渡しをするセキュリティプロセスであり、PCメーカー側はブートシーケンス全体がデジタル署名されているかどうかをチェックする特殊な検出コードを搭載することになる。つまりこの機能を使用することで、ユーザーが電源スイッチを入れた瞬間から、ログイン画面が表示されるまでに実行されるすべてのものが、あるべきかたちでロードされるようになるというわけだ。世の中には、ルートキットという悪質なマルウェアが横行している。ルートキットは自身をシステム内の奥深いところに格納し、ブート時にWindowsのロードに先立ってロードさせるようになっているため、どのようなウィルス対策ソフトウェアを使用していても防ぎようがないのである。しかし、セキュアブートによって、この種のエクスプロイトを防げるようになる。企業環境において、セキュアブートは実際に有用なものとなるため、あらゆる場所で有効化されるようにすべきであることは言うまでもない。ただ、一部の人々は不平を述べている。というのも、PCメーカーが自社のマシンにWindowsロゴを付けようとした場合、セキュアブートの搭載が必須となるものの、当該機能を有効化することでLinuxやFreeBSDといった他のOSがインストールできなくなってしまうためだ。しかしARMベースのマシン以外では、ユーザーがUEFIのオプションを設定することで、この機能の有効化/無効化を切り替えられるようにするとPCメーカーは説明している。

 Windows 8とInternet Explorer 10において実現されたセキュリティに関するもう1つの強化策は、「SmartScreen」と呼ばれる機能である。これはインターネットからダウンロードしたものすべてをMicrosoftが追跡するという新しいシステムだ。オンライン上のプログラムを取得する際、SmartScreenフィルタがそれをチェックし、他の人々もダウンロードしているかどうかを確認する。その後、該当ソフトウェアの普及度合いと、マルウェアに感染した履歴があるかどうかという情報に基づいたレーティングが付与される。SmartScreenを有効にした状態でレーティングの低いプログラムをダウンロードしようとした場合、警告メッセージが表示され、危険にさらされていることが通知される。これは、有名なプログラムを装ってユーザーをだまし、悪意のあるプログラムをダウンロードさせようとするフィッシング攻撃を避けるための非常に効果的な手法となる。SmartScreenはこういった攻撃から身を守るための力になってくれるというわけだ。しかし、ここでも不平を述べる人々が存在している。あなたが小規模な企業に属している、あるいは個人で開発を行っているような場合、新たなアップデートに対して高いレーティングを得ることは難しくなる。このため、あなたのアプリケーションを安心してダウンロードしてもらえるようにするには、デジタル署名を入手し、そのアプリケーションに署名を施しておくことになる。しかし、これによってWindows認証ソフトウェアの開発手順に煩雑さがもたらされるわけだ。

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