ウェブゲートウェイセキュリティ市場、20%増--標的型攻撃増加の影響

田中好伸 (編集部)

2012-08-23 15:27

 アイ・ティ・アール(ITR)は8月23日、国内のセキュリティ市場動向をまとめた調査レポート「ITR Market View:セキュリティ市場2012」を発表した。2011年度のウェブゲートウェイセキュリティ市場は、標的型攻撃の増加を受けて、前年度比19.6%増の55億円に達したという。

 2012年度も前年度比20.7%増を予測している。2011年度のウェブゲートウェイセキュリティ市場のベンダーシェアは、老舗のブルーコートシステムズが1位を維持。トレンドマイクロは出荷金額が横ばいだが2位を堅持しているという。出荷金額を大きく伸ばしたシマンテックが3位となっている。

図 ウェブゲートウェイセキュリティ市場ベンダーシェア(2011年度、出荷金額ベース、出典:ITR)

 ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は「ウェブアクセス経由でのマルウェア感染の防止を主目的とするウェブゲートウェイセキュリティ製品は、自社内にサーバやアプライアンスを設置せず、低価格で利用できるSaaS型市場の拡大しており、メール対策製品が成熟化に向かいつつある中、従業員の安全なネット利用を支援するためのツールとして、中堅以下の企業でも導入が拡大している」とコメントしている。

 調査レポートは、マルウェア対策やメッセージングセキュリティ、ウェブゲートウェイセキュリティ、ディスク暗号化、情報漏洩対策(DLP)と大きく5つの分野で構成される。

 そのうち、メッセージングセキュリティはメール総合セキュリティやウェブメール、メールフィルタリング、スパム対策、メールアーカイブ、メール誤送信防止が含まれる。ゲートウェイセキュリティは、ファイアウォール(FW)/統合脅威管理(UTM)、不正侵入検知システム(IDS)/不正侵入防御システム(IPS)、ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)、URLフィルタリング、ウェブゲートセキュリティで構成される。

 2011年度の各市場は、マルウェア対策の出荷金額が前年度比7.3%増となり、SaaSへのシフトが進んでいるという。メッセージングセキュリティは出荷金額が同7.7%増と堅調、SaaS型のメール総合セキュリティベンダーが伸びをけん引したと説明。FW/UTMは同22.5%増と大きく伸長、IDS/IPSは出荷金額で同10.8%増、飽和市場ながらアップグレード需要が安定的に維持されたとしている。

 WAFは認知度と需要の高まりで同29.4%増と大きく成長、URLフィルタリングは公共・公益の予算削減で同4.8%増と低調としている。ディスク暗号化の出荷金額は同8.3%増、DLPは同18.2%増で、2012年度は同43.1%増と大幅な拡大が見込まれるという。

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