NCLC、OpenFlowスイッチと「Hinemos」を一緒に提供--仮想網基盤を構築

田中好伸 (編集部)

2012-08-28 17:55

 NTTデータとエヌ・シー・エル・コミュニケーション(NCLC)は8月28日、仮想ネットワーク分野での提携を発表した。第1弾として、NCLCが「OpenFlow」に対応するL2/L3スイッチ「Pronto」シリーズとNTTデータの統合システム管理ツール「Hinemos」の仮想ネットワーク管理機能を組み合わせたソリューションを提供する。

 OpenFlowは、ソフトウェアでネットワークの構成や機能を定義する技術モデル「Software Defined Networking(SDN)」を具現化する主要技術の一つ。従来のスイッチは、1台の端末が経路制御やパケット転送などの機能をそれぞれ独立して持っている。OpenFlowでは、スイッチ端末はパケット転送のみを担当し、経路制御は独立したコントローラで行われる(このスイッチ端末を「OpenFlowスイッチ」、コントローラを「OpenFlowコントローラ」と呼ぶ)。

 仮想化技術の普及で、サーバやストレージなどのハードウェアを柔軟に確保できるようになっているが、ネットワーク機器の柔軟性や拡張性が求められるようになっている。OpenFlow/SDNはこの数年で注目されるようになっている。

 NCLCはSDNを推進する業界団体であるOpen Networking Foundation(ONF)に参画。3月に、ONFの早期メンバーとしてOpenFlowの仕様策定や検証に携わっている米Pica8と提携して、Pica8が提供するProntoを日本市場に投入している。

 Prontoは、従来のスイッチOSと異なるマルチモジュール、マルチプロセスのアーキテクチャで設計されたOSを搭載しており、従来にないスピードで機能を追加、拡張できるという。NCLCは、Pica8のスイッチの特徴として、低価格も強調している。

 OpenFlow/SDNは従来型ネットワークの課題解決を目指すものだが、現実的な移行プランが必要であり、費用対効果に優れたものであることが必須と説明。Pica8のOpenFlowスイッチは従来のL2/L3スイッチとのハイブリッドモードで動作することで、移行パスを提供しながら他社の同クラス製品よりも20~60%低価格とメリットを強調している。

 NTTデータとの提携で提供するHinemosは、従来からシステム運用管理機能、仮想サーバ管理機能を搭載している。6月からは仮想ネットワークを管理できる「Hinemos 仮想ネットワーク管理オプション」も追加されている。OpenFlowで仮想ネットワークの監視や変更管理なども含めて、データセンターやクラウド環境を一元的に運用管理できるようになっている。

 Hinemos 仮想ネットワーク管理オプションはOpenFlowを活用した仮想ネットワーク基盤に対する管理、監視、GUIでの仮想ネットワークの設計とOpenFlowスイッチの設定反映といった機能が提供される。加えて、物理ネットワークマップ上での仮想ノード間の経路情報の表示、OpenFlowスイッチに対するコントローラの機能も提供される。

 同オプションでは「Hinemos VM 管理オプション」も提供される。Hinemos VM 管理オプションは仮想サーバ基盤のトータルな運用管理機能に加えて、ゲストOSの監視や操作、各種ハイパーバイザの監視といった機能も提供される。

 NCLCは、Hinemosの仮想ネットワーク管理機能とProntoを組み合わせて提供する。Hinemosの基本ライセンスとVM 管理オプション、仮想ネットワーク管理オプションを組み合わせて導入する場合のライセンス費用(税別)は初年度620万円から。

図1 ProntoとHinemosの組み合わせイメージ
※クリックすると拡大画像が見られます
図2 ProntoとHinemosの物理構成概要
※クリックすると拡大画像が見られます

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