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VMworld 2012:マリッツCEOとゲルシンガー次期CEOがそろい踏み

冨田秀継 (編集部) 2012年08月29日 07時23分

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 米VMwareは米国時間8月27日から年次カンファレンス「VMworld 2012」を開催中だ。初日の基調講演では、クラウド基盤の統合製品「vCloud Suite 5.1」が発表され、さらにvRAM(仮想メモリ)ベースの課金撤廃が明らかにされた。

 VMwareでは、8月末に現CEO(最高経営責任者)のPaul Maritz氏が退任し、親会社EMCで情報インフラストラクチャ製品部門のプレジデント 兼 COO(最高執行責任者)を務めるPat Gelsinger氏が新CEOに就任することを事前に発表している。Maritz氏は9月にEMCの技術戦略責任者に就任、VMwareの取締役会には留まるという人事だ。

 初日の基調講演は、2008年から4年に渡ってVMwareを率いてきたMaritz氏の最後の大舞台。Gelsinger氏にとっては、2007年にIntel幹部として「VMworld 2007」の基調講演に登場して以来の登壇となる。

 Gelsinger氏の登場は、次期CEOの“お披露目”という程度になるかと思われていた。しかし、この予想はいい意味で裏切られた。

 基調講演の前半は、Maritz氏がこれまでの4年を振り返り、Gelsinger氏がこれからの4年を語るという構成をとった。現時点を含む“これからの4年”に関するアナウンスは、すべてGelsinger氏が担当したのだ。上述したvCloud SuiteとvRAMによる課金撤廃についても、Gelsinger氏が説明している。

新たな情報体験のために

 現CEOのMaritz氏は、まず始めに2008年と2012年のIT環境を比較してみせた。2008年にはワークロードの25%が仮想化されていたが、2012年には60%まで増加。また、「VMware認定技術者(VCP)」は2万5000人から12万5000人と4年間で5倍に、VMworldの参加者も1万3000人から2万人に増加したという。そして、クラウドコンピューティングへの取り組みに対しては、従来の「What?(クラウドとは何か?)」から「How?(いかにクラウドを使うか?)」へと問題意識が変化したことも強調した。

 「クラウドやモビリゼーションのようなバズワードがあるが、今、本当に起こっていることは何か。それは、50年間にわたって成功裏に進んでいた紙ベースの世界を自動化するということではないか」とMaritz氏。「次に起こるのは、全く新しい体験をもたらすもの。情報を全く違った形で人々は体験したがっている」とビジョンを示した。

 新たな情報体験とは、ユーザーが何をしているか、どこにいるか、どのような文脈でそれを受け取ろうとしているのかを、システムがリアルタイムで把握して提供することを想定している。Maritz氏はその実現のために、「既存のITをより効率的に、より俊敏にしていく」必要があると訴える。

 ここでMaritz氏は「次の4年間について話す人物を紹介しよう」と述べ、Pat Gelsinger氏を壇上に招き入れた。両氏は30年来の友人であり、時にはそれぞれ別の会社でライバルの関係にもあったという。

 Gelsinger氏と握手を交わし、早々に壇上を降りたMaritz氏。講演に入る前にGelsinger氏が4年間の労をねぎらう言葉をかけると、会場はさらに大きな歓声に包まれた。

 Maritz氏を送り出したGelsinger氏は、「インフラストラクチャ」「アプリケーション」「アクセス」という3つのレイヤに沿って、今後4年間の目標や取り組みを説明した。本稿では「インフラ」に関するVMwareの見解を解説していきたい。

ソフトウェアで定義されたデータセンター

 インフラ分野では、仮想化技術の普及をさらに推し進める考えだ。Gelsinger氏は「VMwareにはワークロードの仮想化で素晴らしい実績がある。今後(4年程度)は90〜95%と、より高い目標を掲げる」ことを表明した。

 また、インフラでさらに大きな変革が求められるのがプロビジョニングだという。「これまでは新しいコンピュータの調達に数カ月をかけていた。しかし、仮想化によって(コンピュータ資源を)より短期間のうちに調達できるようになった」とGelsinger氏。一方、データセンターを構成するネットワークやセキュリティでは、まだハードウェアとして残っているのが課題だとする。この両者を自動化する取り組みこそ「Software-Defined Datacenter(ソフトウェアで定義されたデータセンター」だ。

 「ソフトウェアで定義されたデータセンター」は、VMwareが提唱する新たなコンセプトだ。サーバ仮想化だけでなく、ネットワークとストレージも仮想化・抽象化することで、データセンターの自動化を推し進め、より効率的な管理を実現しようという取り組みとなる。

 「データセンター全体がサービスとして提供される。必要なサービスはジャスト・イン・タイムで生成され、提供されるのだ」(Gelsinger氏)

 このコンセプトに則り、クラウド時代にあった管理機能を持つ製品として提供されるのが「vCloud Suite 5.1」となる。

 Gelsinger氏は最後に「Intelでは30年にわたって多くの方々と仕事を進めてきた。同じような関係をVMwareでも構築していきたい」と述べて講演を締めくくっている。

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