zEC12は、新しい暗号処理カード「Crypto Express4S」でPCIe内部で完結したデータ入出力処理を可能にし、暗号処理エンジン「CPACF」をプロセッサコアごとに搭載、セキュリティを強化した。
(2)の規模による効率化では、強力な処理性能による統合化を実現する。zEC12はz196と同じく、メインフレームと、UNIXサーバとx86サーバというような、異なるアーキテクチャのハード資源を1台で統合管理することが可能だ。zEC12は、異機種混在の仮想サーバ最大10万台を1システムとして統合でき、運用管理コストや消費電力、設置スペースを削減できる。
複数のトランザクション間でメモリ競合を回避するための機能であるトランザクショナルメモリテクノロジを商用サーバとして初めて採用した。これは現在世界最速のスーパーコンピュータである「Sequoia」で初めて実装された機能であり、例えば高負荷のJavaアプリケーションで、パフォーマンスを大きく改善できるという。
(3)のオペレーショナルアナリティクスとは、大量データを分析する機能を業務データと洞察へのアクセス機能とを組み合わせることで、リアルタイムに洞察を提供し、意思決定の迅速化を支援する発想だ。データ分析ソフトウェア「IBM DB2 Analytics Accelerator for z/OS V2.1」でデータウェアハウス(DWH)アプライアンス「IBM Netezza 1000」とzEC12を連携させると、「1日1回のバッチ処理で1時間以上かかっていた分析処理を8秒以内で完了でき、新しいデータの中からリアルタイムに洞察を引き出すことが可能となり、各業務の現場にいる、多数の人々が迅速に判断できるようになる」(北沢氏)という。
販売戦略としては、他社サーバからの移行促進を図る。国産メインフレームユーザーのzEnterpriseへの乗り換えを促し、移行専門チームを強化、人員を10~12月にも倍増し、移行の負荷軽減をさせるとともに、方法論、ソリューション、テンプレートなどを提示、zEC12の利点を訴求するほか、移行セミナーを引き続き実施する。他社サーバをSystem z用のLinuxで統合する取り組みも推進する方針だ。大島氏は「他社サーバからzEnterpriseへの移行は、負荷がかかりすぎるとの認識を変えていきたい」と述べ、意欲を示した。