IDC Japanは9月4日、国内IT市場の主要ベンダーの2011年下半期(7~12月)製品ポートフォリオとビジネス戦略の分析結果を発表した。下半期の売上高は東日本大震災の影響から回復基調にあると説明している。
対象となる主要ベンダーは日本IBM、NEC、富士通、日立製作所、日本ヒューレット・パッカード(HP)、東芝(東芝ソリューション含む)、デル、日本マイクロソフト、日本ユニシス、SAPジャパン、NTTデータの11社。ハードウェア、ソフトウェア、ITサービスの3種類に分類し、2009年上半期(1~6月)から2011年下半期の国内売上額を半期ごとにまとめた。
2011年上半期は震災の影響でほぼすべてのベンダーが前年比でマイナス成長。2011年下半期には前年比でプラス成長に転じる主要ベンダーが富士通、日立製作所、マイクロソフト、ユニシス、SAPの5社と、およそ半分を占めるようになり、震災の影響から回復していると説明する。総合ベンダーの下半期は、前年比で富士通が4.6%増、日立製作所が1.8%増、日本IBMが5.7%減、日本HPが7.3%減となっている。
IDC Japanは、国内のITベンダーはカネのなるビジネスを模索していると表現する。PCは売り上げの柱ではなくなりつつあり、PCを単独の事業ではなく、別の事業と統合、再編する動きが加速しているとも説明。今後の柱と期待されているのはスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末を核とした事業と予測する。
モバイル端末そのものだけでなく、モバイル端末に搭載するアプリ、モバイル端末同士をつなぐ通信網など、モバイルビジネスのプレーヤーが多岐に渡るという。モバイルビジネスに参入する事業者が増加する一方で、淘汰される事業者も増えると見込んでいる。同社の福田馨氏(ITスペンディングシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「ITベンダーは、モバイル端末と一体になったソリューションビジネスを整備、再編すべき。モバイル端末が今後柱となる市場を見据え、ソリューションの価値をビジネスに注力すべきである」