ウォルマートも実験を始めたセルフ・チェックアウト
さて。
スマートフォンを利用したセルフ・チェックアウトの仕組みについては、あのウォルマートでも導入を視野に入れた実験が始まった——と、そんなニュースが米国時間31日に流れた(註15)。
このシステムは「スキャン&ゴー」という名前。買い物客は自分のスマートフォンを使って商品をスキャンする。ここまではアップルのEasyPayと同じだが、だが、ウォルマートでは今のところ、精算は既存のセルフ・チェックアウト用カウンターで行うというやり方を採っているという。
ウォルマートではこのためにiOSアプリを独自開発、現在はアーカンソー州の本社近くにある店舗で実験を展開中だ。なお、この実験には従業員の家族や知人のiPhoneユーザーが参加し、使い勝手などの感想をフィードバックしているそうだ。
北米だけで4500店舗以上を構える世界一の小売チェーンでは、キャッシャー(レジ係員)の人件費だけでなんと一秒間に1200万ドルもかかっているというから、それをセルフ・チェックアウト式のレジ(同社傘下の西友などでも既に導入されている)に変えるだけで、相当の経費節減が見込める。それと同時に、レジカウンターでの行列解消(支払い精算にかかる時間短縮)にもつながるということで、買い物客の経験向上も期待できる。
なお、アップルのEasyPayについては「運用面でまだ難しい部分も残っている」という話がMacworldに載り、一部で話題になってもいた(米国時間8月28日付)(註16)。
ニューヨークの五番街にあるアップルストアで、EasyPayを使って買い物をした青年が万引きの疑いをかけられて警察署まで連れていかれたという話だ。買い物客はアプリを使って支払いまで済ませた(Apple IDにチャージされる)つもりで店を出ようとしたが、実はこの処理がきちんと済んでいなかった、という経緯(いきさつ)らしい。
あらためて驚くのは、このEasyPayをつかった精算だと店側のスタッフと一つもコンタクトせずに買い物を済ませることができるという点。システム自体はこれから様々な修正が加えられて、トラブルが起こらないように改良されていくことになるのだろう(そうでなければ、いろいろな場所で使われるようになるのが難しい)。だが、人間側がどこまで、あるいはどれほどの時間で、そうした新しい仕組みに適応できるようになるのか。自分がそれを使う姿を想像すると、そんな疑問、いや、不安も浮かんでくる。
アプリを操作して商品をスキャンし、支払いのボタンをクリックするところまでは、あまり不安もない。だがその先の、買った商品を自分のバッグに入れてそのまま店から出てくる、という行動に馴れるまで、結構時間がかかりそうな予感もしている。
(敬称略)
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註15:ウォルマートでも実験開始
Exclusive: Walmart tests iPhone app checkout feature - Reuters