イオン、オフコンとUNIXの基幹系システムを仮想化統合--1000人以上が利用

田中好伸 (編集部)

2012-09-06 12:34

 イオングループは、グループ企業や業務ごとに分散していたサーバを統合基盤システムとしてPower Systemsサーバ「IBM Power 770」2台に仮想化統合し、6月末から稼働させている。日本IBMが9月6日に発表した。

 統合基盤システムを稼働させているのは、イオングループのITやビジネスサポート業務を提供するイオンアイビス。現在稼働している統合基盤システムは、イオングループで扱う生鮮食品の発注計画や発注システム、プライベートブランドの「トップバリュ」の在庫管理や物流管理、輸入管理など各業務のシステムを移行し、統合させたシステムになる。

 新統合基盤システムは、イオングループ内の国内約20社、500以上の店舗と商品部員を対象に約1000人以上が利用している。生鮮食品の発注計画や店舗発注、在庫管理、物流など各業務に活用されている複数台のサーバをPower 770に仮想化統合して、処理している。

 サーバ設置スペースが従来の約半分以下になったことに加えて、消費電力も低減でき、より低コストなシステムになっていると説明。サーバ統合すると同時にIBMの遠隔監視サービスも採用したことで、運用管理コストを約50%削減することにも成功しているという。

 新統合基盤システムは、1台のPower 770をハイパーバイザ「PowerVM」で仮想化している。これまで部門別に稼働していた5台のオフコンOS「IBM System i」(旧AS/400)をIBM i 7.1が稼働する複数の論理区画へ、1台の他社製大型UNIXサーバをUNIX OS「IBM AIX 7.1」が稼働する複数の論理区画へ、それぞれ移行し、仮想化統合している。

 Power 770の仮想化機能で物理的なプロセッサコアを最少0.1個(0.01コア単位で増減可能)から業務処理を行うことで論理区画に割り当てることができる。処理量が増えた場合は、サーバ全体で共有しているプロセッサコアから、増強が必要な区画に対して自動的に割り当てることで業務効率を保てると説明する。

 Power 770は、メインフレームで培われた高い可用性で障害時には予備プロセッサで処理を継続したり、代替サーバが自動的に処理を引き継いだりすることで、業務停止を防ぐこともできるようになっている。今回の統合基盤システムでは、冗長性を高めるため、2台のPower 770で可用性を高める構成にしている。

 今回導入したPower 770は予備プロセッサを搭載しており、キャパシティ・オン・デマンド機能でシステムを停止させずに4倍の処理能力まで増強できる。イオングループは、さまざまなシステムをPower 770に統合していく予定。システムのシンプル化と運用管理コスト半減が実現できたことで、災害対策の強化を検討していく。

 新統合基盤システムのデータは、冗長化した2台のミッドレンジストレージ「IBM Storwize V7000」に格納し、テープライブラリ「IBM System Storage TS3100」にバックアップしている。Storwize V7000は1台から最大40台(1440Tバイト)まで増設でき、ほかのストレージとあわせて最大32Pバイトまで管理できる。

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