そして、大三川氏はこの後に冒頭のメッセージを語った。筆者が注目したのは、同氏の語ったIT利用環境がコンシューマーだけでなく、今や企業でも同じ状況になりつつあると感じたからだ。「コンシューマライゼーション」をキーワードとした企業におけるITのコンシューマー化現象である。
その意味では、今回の発表のように有力なコンシューマー製品が登場したときは、これまで以上にその狙いや方向性に注目しておく必要がありそうだ。
「ビッグデータ時代にはコスト効率のよいテープライブラリの需要が高まってくる」
(日本オラクル 飯尾光國 執行役員)
日本オラクル 飯尾光國 執行役員
日本オラクルが8月30日、テープライブラリの新製品「StorageTek SL150 Modular Tape Library(以下、SL150)」の販売を開始したと発表した。飯尾氏の発言は、その記者会見で、システム事業の統括責任者としてテープライブラリの有望性について語ったものである。
SL150は、最大900テラバイト(非圧縮時450テラバイト)まで拡張可能なテープライブラリで、この製品ひとつでエントリーモデルからミッドレンジまでバックアップやアーカイブのニーズに対応しているのが特徴だ。
さらに詳しい製品の内容については、既に報道されているので関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に関わる話を取り上げたい。
会見では、ストレージの経済性について、コスト効率を考えると、必要なデータ容量を高速ディスクのみでまかなうのではなく、フラッシュメモリ、高速/中速ディスク、テープライブラリという階層型ストレージが現実的な解だ、との説明がなされた。
ちなみにオラクルはストレージのラインナップとして、Oracle Exadataのような高速ディスク機能を持つエンジニアドシステムをはじめ、NAS、SANストレージ、テープライブラリといった4つの柱がある。
最近ではエンジニアドシステムに注目が集まることが多いが、同社では容量単価が安いストレージとしてテープライブラリの価値が下がることはないと見ており、ビッグデータ時代になれば、むしろその価値は高まると予測しているようだ。
飯尾氏はSL150の日本での販売展開について、「まず、競合他社からの置き換え需要を創出していきたい。また、データベースアプライアンスであるOracle Database Applianceとの連携は検証済みなので、パッケージでのソリューション展開を図りたい。さらに、そうしたパッケージソリューションをパートナーに対しても商材として提供し、協業体制を一層強化していきたい」との意気込みを語った。
確かに、ビッグデータ時代を迎えてテープライブラリのニーズは一層高まりそうな予感がある。テープライブラリというと、つい古いイメージを抱きがちだが、SL150の技術の進展には目を見張るものがある。普段はあまり話題に上らないテープライブラリだが、オラクルが戦略製品を投入したことで市場が活性化しそうだ。
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