日本マイクロソフトは9月7日、パートナー企業を対象としたイベント「マイクロソフト パートナー コンファレンス 2012」を都内で開催し、自社製品を基盤にした製品やサービスを提供するパートナー企業25社を表彰した。
この中で、デルが「コミュニケーション コンピテンシーアワード」を受賞した。コンファレンスに参加したデルの関係者に話を聞いた。
震災で高まったユニファイド・コミュニケーションへのニーズ
デルが受賞したのはユニファイド・コミュニケーション(UC)のソリューション。電子メール、電話/FAX、スケジュール管理や会議の招集といった、ビジネスにおけるコミュニケーションを一元的に実施できるツールだ。PBX音声と連携できることなどが特徴という。
デルの高橋明氏
マイクロソフトの製品をベースに開発したUCのソリューションを、「デルモデル」で知られるダイレクトセールス網やテレセールス、客先に足を運ぶ通常スタイルの営業部隊などを活用して販売し、ユーザーからのフィードバックをマイクロソフトに伝え、製品の改良につなげるといった協力関係だ。
デルの東日本支社、ソリューション・サービス・デリバリー統括本部 コンサルティング第2本部の部長、高橋明氏は「東日本大震災をきっかけにUCに注目が集まり始めた」と話す。
震災時に「携帯電話がつながらなかった」ことへの失望感が大きくなった一方で、「(今はMicrosoft子会社でもある)SkypeやTwitterなどのソーシャルメディアを利用して家族と連絡が取れた」との声が多かったのは記憶に新しい。危機管理という企業にとって最も重要なニーズを、セキュリティ面などで何かとやり玉に挙げられるインターネットサービスがカバーしたという、いくぶん皮肉な結果を招いた。
UCの分野で、デルの2012年度の売り上げは前年比3.3倍に上った。具体的には、ヘルスケア業界での導入が増加傾向という。UCを導入した北陸の恵寿総合病院の目的は、医師が病院の外から医療データベースなどにアクセスできるようにする環境を整えることだった。院内ではPHSを利用していることもあり、音声とメールなどコミュニケーション情報を統合するニーズが、病院では特に強いという。
「医療は統廃合が多い業種」(高橋氏)といい、結果として、UCを含めたプロジェクト規模は意外なほど大きくなる傾向にあるそうだ。「仮想化ソリューションなどよりも全体金額が大きくなるケースもめずらしくない」(同)。
もちろん、病院に限らず通常の民間企業でも、UC導入により「1人に1つFAX番号がもらえる」「留守電も自分宛のメールボックスに入ってくる」などUC導入による「ワークスタイル変革」の効果は大きいという。
今回のアワード受賞について「受賞すると、メディアからの取材が増えたり、顧客に製品への安心感を与えられる」など、効果があるとコメント。ただし、直接的にマイクロソフトが顧客を紹介したり、何らかの補助金が出たりといったことはないとしている。
日本マイクロソフトの関係社員が多数いる中の取材だったが、全体として「マイクロソフトとのパートナーシップにはとても満足している」と高橋氏は話していた。
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