「IFA 2012」カンファレンスで展示されていた数多くのタブレットとウルトラブックのコンバーチブルマシンを目の当たりにすると、われわれは今まさにPCの進化における創造性の最盛期にいると感じられる。こういった数多くの選択肢があるなか、どれが購買者の心をとらえるものとなるのだろうか?
ハイブリッドデザインがIFA 2012カンファレンスの花形であったということは誰もが認めるところだろう。ベルリンで開催されたこのテクノロジカンファレンスでは、ありとあらゆるノートPCメーカーがタブレットとウルトラブックのコンバーチブルマシンというコンセプトを実現したPCを披露していた。
全体的に見ると、海の物とも山の物ともつかないこの分野に、これほど多くの製品が登場しているというのは驚きである。確かにASUSは、「Android」を搭載したタブレット型ノートPC「Transformer」シリーズである程度の成功を収めている。また、多くの人々は「iPad」にキーボードドックを接続して使用している。
HPの「Envy x2」。IFA 2012カンファレンスでは、ウルトラブックとタブレットのハイブリッド機が数多く展示されていた。
提供: David Meyer
しかし、こういった新しいハイブリッド製品群はいくつかの点で今までのものと大きく異なっている。まず、現時点ではまだ市場に投入されていない「Microsoft Windows 8」が搭載されている。次に、これらの製品はノートPCユーザーを主なターゲットとしており、タブレットユーザーは二の次となっている。実際のところ、これらの製品群はノートPCにおける形状の進化と、タブレットへのシフトという流れに危惧を抱いているPC業界全体による取り組みの表れだろう。
こういった取り組みが成功するかどうかは意見の分かれるところだろう。Tim Anderson氏は、タブレットユーザーの多くがノートPCのようなエクスペリエンスを望んでいるわけではないと述べるとともに、Microsoftが過去にタブレットPC戦略で失敗したことを指摘し、このトレンドに対する否定的な見解をはっきりと主張している。
筆者は同氏の主張を理解できないわけではないものの、同意はしかねる。筆者の考えでは、多くの人々はノートPCという形状で満足しており、ハイブリッド機というこの新たな流れをタブレットという世界に足を踏み入れるためのきっかけにするはずだ。
東芝の「Satellite U920t」
提供: David Meyer
実際のところ、筆者は「必携のデバイス」としては7インチという形状が最適だと考えており(筆者はGoogleの「Nexus 7」を所有している)、それよりも大きなタブレットは、ノートPCの代替としてその全機能が利用でき、入力も容易である場合に意味を持ってくるだろうと考えている。ノートPCでできることが10~12インチのタブレットでできないというのであれば、そういったものを苦労して持ち歩く理由などないというわけだ。
このため筆者はハイブリッド化という流れが実を結ぶと考えている。ただし、ハイブリッド機を開発しているメーカーすべてが成功するとは考えていない。
こういった新たなハイブリッド機の多くは、よく似た見た目となっているものの、全体的に見るとさまざまな実験のまっただ中だと言える。これは良いことだ。選択肢が多いのは良いことであり、最終的には市場がそれぞれのデザインの成否を決定することになるだろう。
また、こういったさまざまな実験は実際のところデザインに集約されている。新たなPC/タブレットの内部は程度の差こそあれ、既に似たようなものになっているのである。ポートや接続性といった選択肢も少なくとも今のところは同様であり、USB 3.0やHDMI、Bluetooth 4.0、802.11n Wi-Fiといったものを搭載していないハイブリッド機はほとんど見あたらない。製品によってはIntelの「Ivy Bridge」や「Clover Trail」といったチップセットを搭載しており、ARMプロセッサを搭載しているものももちろんある。しかしこれらの製品はいずれも、大半のユーザーの仕事をこなすうえで十分なものであり、バッテリ寿命の長さのみが購入の決め手となるだろう。
ここで、成功するのはどの製品かという疑問が残ることになる。