日本マイクロソフトの広報によると、ビール氏がこうした記者会見に登壇するのは今回が初めてだとか。マイクロソフトにとって新時代を迎えた中で、同氏がどんな手腕を発揮するか、注目しておきたい。
「スマート端末のモバイル業務利用が今後一層加速し、コンシューマ領域とビジネス領域の融合によるビジネスチャンスが生まれるだろう」 (富士通研究所 司波 章 主管研究員)
富士通研究所が8月31日、スマートフォンを安全に業務利用できるようにするアプリケーション実行基盤技術を開発したと発表した。同社のヒューマンセントリックコンピューティング研究所で主管研究員を務める司波氏の発言は、その発表会見で、今回開発した技術が拓くビジネスチャンスの可能性を示したものである。
富士通研究所 司波 章 主管研究員
新技術は、クラウドからスマートフォンを制御して、必要なときだけスマートフォン上に業務サービスの実行に適した環境を生成し、安全に実行することを可能にしたものである。これにより、従来企業内ネットワークのみで運用していた業務サービスを、社内外に関わらずスマートフォンで安心して利用できるため、さまざまな現場で業務効率の向上を図ることが期待できるとしている。
同社が今回開発したセキュアアプリ実行基盤を支える技術は、状況に応じて画面の切り替えや配信するアプリケーションの管理を行う「コンテキストデスクトップ技術」、アプリケーションを安全に実行し、スマートフォンに搭載されたカメラやネットワークなどに対して利用制限を行う「セキュア実行環境技術」、社内外のどちらのネットワーク環境でもシームレスにスマートフォンへのアプリケーションの配信を可能にする「シームレスプッシュ技術」といったものだ。
司波氏によると、「例えば、従来病院内に閉じたサービスを、事故現場や救急車の中でもデータを保護しながら利用でき、医療業務の効率向上が可能になる」という。今後はこのシステムを簡単に構築できるようパッケージ化を進め、2012年度中の実用化を目指すとしている。
同社が今回開発した技術は、要は個人所有の端末を業務利用するBYOD(Bring Your Own Device)のもとでスマートフォンを使うための仕掛けである。司波氏も「仮に会社が従業員に端末を配布するにしても、従業員がプライベートでも端末を自由に操作できるモードがないと、結局は2台を保持する形になってしまう。そうした状況にならないように、BYODにはまじめに取り組んでいかないといけない」と強調した。
とりわけスマートフォンが急速に普及している中で、BYOD化はもはや避けて通れない。その意味でもユニークな発想に基づく同社の新技術には大いに期待したいところだ。
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