さらに、企業の永続的な繁栄という点では「企業の国籍が、グローバルなビジネスにどれだけ意味を持つのか」と疑問を投げかけた。ここでは、どの国の企業かということよりも、自社のビジネスがどういう意味をもつのかが重要だとする。
「市場に参入するのではない、市場を作ることが大切だ。自分の国が大事というよりも、グローバルな世界で企業が果たす役割を考えるべきだろう」(パルミサーノ氏)
また、パルミサーノ氏は、リーダーこそ長期的な視点で問題を考える必要があると説く。「50年前は(投資家の多くが)上場企業の株式を8年に渡って保有していた。それが今や半年だ」という統計を紹介した上で、大手企業のCEOがすぐに交代する世相を批判した。「長期的な問題を短期間で考えることはできない」からだ。
「上場企業では90日間の収益を尺度にすることがあるが、それも、どこに行くのかという方向性が見えていればいい。結局、大切なのは、企業でも大学でも個人であっても、新しい境地を開拓することだ」(パルミサーノ氏)
自身がCEOに就任したときには「素晴らしい企業を預かったという感覚だった」と述べたパルミサーノ氏。約10年の在任期間を経て、「前よりも良い状態で(ロメッティ氏に)引き継げたと考えている。社会にとって(IBMが)より良い意味のある企業となった」という。
創業CEOを除くと、米国の大企業で10年もCEOであり続ける例はそれほど多くない。さまざまな危機を経て101年目のIBMが成功しているのは「長期的な視点」に依るところが大きいのだろう。
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