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ヴァージンが銀行業に参入することの意味

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2012-09-18 12:13

アンゾフの成長マトリックス

 「アンゾフの成長マトリックス」というのがある。下の図にあるように、横軸を既存商品、新規商品と置き、縦軸を既存市場と新規市場と置く。

 既存市場に対して、既存商品を投入するのは「市場浸透」戦略と呼ばれる。しかし、その市場が成熟化してしまったら、新しい市場を開拓するか(「市場開拓」戦略)、あるいは新しい商品を開発しなくてはならない(「商品開発」戦略)。

 いずれもその成功確率は、既知の市場へ既存商品を投入するよりも低くなる。そして、最も成功が難しいのが、知らない市場へ新しい商品を投入する「多角化」戦略である。

成長マトリクス

 しかし、その多角化戦略で成功し続ける企業がある。Virginグループである。Virginは、Virgin Recordsの成功を皮切りに、航空産業、携帯電話、鉄道事業、映画館運営事業などに参入し、世界22カ国でビジネスを展開する。

 その成長戦略は、既存市場でも既存商品でもなく、完全なる多角化と言える。新規商品や新規市場への参入ですら容易ではないのに、この成功の源泉はどこにあるのだろうか。

多角化に成功するためのコアコンピタンス

 企業が新しい市場に参入するとき、新しく創造された市場でない限り、そこには既存のプレーヤーがいる。それは航空産業も携帯電話も鉄道事業も全て同じである。

 これらは、どれも全く新しい産業ではないし、多額の初期投資が参入障壁となっている業界ばかりである。これら、市場も顧客も全く異なり、かつ確立された産業への参入において、共通する競争優位とは何であろうか?

 恐らく、参入した産業がいずれも新しいものではなく、かつ既存のプレーヤーが存在していることにヒントがある。つまり、高い参入障壁によって守られているが故に、顧客視点でのサービスが疎かになった産業においてこそ、Virginグループのコアコンピタンスが活きるのである。

 確立された産業にコンシューマー視点で革新を追求するブランド力、これが一貫したコアコンピタンスとなっている。そういう意味では、一般的には「多角化」戦略と見えるVirginグループの成長戦略は、「確立された産業」という既存市場において「Virginブランド」という既存の商品を売る「市場浸透」戦略を地道に実行しているとも言える。

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