Dreamforce 2012

世界で本格化するソーシャルの企業利用--Dreamforce 2012

怒賀新也 (編集部)

2012-09-20 15:49

 米Salesforce.comは9月18日から3日間、米サンフランシスコで年次ユーザーカンファレンス「Dreamforce 2012」を開催している。初日の基調講演は、マーク・ベニオフCEOがリードする形でFacebookなどのソーシャルツールを導入し、ビジネス効果を上げたSalesforceの多数のユーザー企業を紹介した。また、ユーザー企業の1社であるVirgin Groupの創業者、リチャード・ブランソン氏がベニオフ氏と対談する企画も催された。


社員と社員、顧客さらには機械を「ソーシャル」でつなぐ

 「2008年のDreamforceで“ビジネスはソーシャル化する”と伝えた。今、それが現実になりつつある」

 ベニオフ氏はこう切り出した。来場者にベニオフ氏は「何らかの形でソーシャルを仕事に利用している人は挙手してください」と呼びかけると、7割近くが手を挙げた。Salesforce.comはソーシャル分野の基盤製品として「Chatter」を提供しており、顧客数が前年比48%も増えているという。Googleの21%増、Coca Colaの14%増と比べても率が高い。

基調講演に登壇したマーク・ベニオフCEO
基調講演に登壇したマーク・ベニオフCEO

 Chatterを活用する代表的な企業として紹介されたのがGeneral Electric(GE)だ。GEでは、社員同士をソーシャルの仕組みでつなぐだけでなく、社員と顧客、さらにはGE製品である機械もつないでいくという目標を持つ。ソーシャルデータと機械をつなぐことで、機関車をより速く走らせたり、燃費を抑えたりといった機械の学習が加速するという。

 「飛行機のエンジンがソーシャルネットワークにつながる。これぞDreamforceだ」(ベニオフ氏)

 ソーシャルを活用した事例としてベニオフ氏が紹介したのが、スキーなどのスポーツ用品メーカーとして知られるフランス企業のRossignol(ロシニョール)だ。ロシニョールは、ディストリビューター、ディーラー、さらには消費者も製品ライフサイクルに巻き込んでいる。消費者のプロフィールを活用しながら、使用している製品や個人の考え方などを把握し、そのフィードバックを製品開発の参考データとして盛り込んでいる。

 さらに、ロシニョールはSalesforceのSales Cloud製品などを使い、iPadを使用した商談管理の仕組みを導入している。この日は、スキー用品の購入を検討する見込み顧客との商談場面が紹介された。ロシニョールの営業担当者は、商談に向かう際、商談相手となる顧客のソーシャルウェブでの書き込みをSalesforce上でチェック。「他社製品を気に入っている」などの商談相手のちょっとした情報を仕入れ、商談の参考にする。

 幸運なことに、「200ペア買ってくれる」ことで話がまとまった。ここで、契約を後日に持ち込んだりはしない。iPadを使った画面にサインしてもらい、その場で契約を成立させたのだ。営業現場における「サインをもらうまでは本当に買ってくれるのか分からない」という状況は万国共通のようで、契約がその場で完了したという説明の瞬間、満員の会場から大きな拍手が起きた。

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