このほか、Virgin Group、Coca Cola、Facebookなどさまざまな企業が導入企業として紹介され、マーケティング効果などソーシャルへの取り組みによるビジネス効果を語った。
ヴァージングループ創設者が語るリーダー像
この日、Salesforce.comのユーザーでもあるVirgin Groupの創業者、リチャード・ブランソン氏がゲストスピーカーとしてベニオフ氏と対談した。ソーシャルなどの従来の考え方とは様子の異なる技術を、大企業として柔軟に取り入れた企業トップとしての力量が見え隠れする話だった。
対談したベニオフCEO(左)とヴァージングループ創設者のブランソン氏
ブランソン氏は1970年、20歳のときにレコードの通信販売会社Virginを創業。その後、レコードショップ、スタジオ、レーベルを立ち上げたことで知られる。その後、航空、鉄道、メディア、宇宙旅行など数々の事業を立ち上げており、現在は世界29カ国に400以上の関連会社を抱えるほどに成長した。売り上げは210億ドルに上るという。
ベニオフ氏は企業家としてのブランソン氏を冒険者に例えながら、サクセスストーリーの背景を探るように、「理想のリーダー像は?」など様々な質問を投げ掛けた。
ブランソン氏の謙虚さとソフトな物腰は印象的だ。20歳そこそこでブランソン氏を成功者に導いたレコードショップの事業について、「当時、若い人向けの雑誌を作ろうと思っており、赤字にならないよう、その収支は気にしていたが、大成功を収めようとは思っていなかった」と話す。
またリーダー像について聞かれると「私はリーダーというポジションを45年やり、仕事を部下に任せることの大切さを理解した。何よりも重要なのは人のベストな部分を引き出すこと。そのためには人の話を聞くリーダーである必要がある」と回答。「社員を家族のように扱う」といわれるブランソン氏らしいやわらかさを見せた。
一方で、着眼点の鋭さが垣間見えるエピソードもあった。航空機事業を開始したきっかけについて「15歳の時にBritish Airwaysの飛行機に乗ったときにひらめいた」という。「エンターテインメントも、フライトアテンダントのサービスも、鶏肉のかたまりのような食事も、すべてがいまひとつだった。これなら勝てる、と思った」という。
そこで、Sex Pistolsなどが所属し、成功を収めた音楽事業の収益を集め、中古の旅客機を購入。航空産業への参入を果たした。
1999年には、企業家精神への貢献が認められて英エリザベス女王からナイトの称号を与えられた。人権問題や地球温暖化などにも取り組み、最近はサメなどの絶滅危惧種の保存にも傾倒しているという。2012年、ブランソン氏はTwitterにおいて、英国で最も影響力のある人物に選ばれたとのこと。
ベニオフ氏は、ブランソン氏の「かっこよさ」を見て「あなたはロックスターなんですね」と一言。1950年生まれの62歳にして筋の通った透明感のある雰囲気に、来場者からの拍手が鳴り響いた。
なお、基調講演ではSalesforce.comの新製品が幾つか発表された。これについては、別の記事で紹介したい。
基調講演の冒頭、歌手のMCハマーが登場した
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