Dreamforce 2012

セールスフォース 宇陀社長が語る「クラウド最大の特徴」

怒賀新也 (編集部) 2012年09月21日 10時08分

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 米Salesforce.comは9月18日から3日間、米サンフランシスコで年次ユーザーカンファレンス「Dreamforce 2012」を開催している。

 2日目となる20日の朝、会場を歩いていた日本法人の宇陀栄次社長に今年のカンファレンスの雑感と日本法人の取り組みについて聞いた。

--今回のDreamforce 2012に参加して、どんなことを感じていますか?

 私が入社したのは2004年でしたが、当時は2000人を集めるのがやっとでした。今回はレジストレーションで9万という規模になりました。しかし、それでもビジネスとしては始まったばかりです。いわゆるアーリーアダプター、イノベーターといった層がSalesforceを利用しはじめ、最近になり大企業ユーザーが目立つようになってきました。

 日本の方が米国よりも少し先行していたものの、ここにきて米国では急速に大手企業の採用が進んでいます。それがすごく印象的でした。

--今回、Dreamforece 2012で多くの新サービスが発表されました。

Dreamforce 2012に参加している日本法人の宇陀社長
Dreamforce 2012に参加している日本法人の宇陀社長

 米国で流行した書籍に『Lean Startup』(邦訳 日経BP社刊『リーン・スタートアップ』があります。限られた領域の技術などで勝負し、市場の反応を見ながら事業を成長させるというやり方が主流になってきました。われわれ自身も、そういうやり方でやってきたという印象を持っています。

 最初は、コンタクトマネジメントだけで事業を始めたわけです。今は、ラインアップしているアプリケーションの範囲が大きく広がり、さらに、自分たちだけでなく、プラットフォームを提供することで外部の企業や個人がSalesforce向けのアプリケーションを開発できるようにしています。

 また、市場のニーズを見ながら、場合によってはM&Aをうまく使いながら成長しようとしています。通常M&Aをする場合、対象となるのはややピークを過ぎた、少し低迷期に入ったような企業であることが多いのですが、Salesforce.comが吸収している企業は、技術的な裏付けがあり、現在伸び盛りの企業がメインである点が大きな特徴です。

--Salesforce.comの事業における収益の柱について、アプリケーションなのか、あるいはForce.comをはじめとした開発基盤を提供するプラットフォームビジネスなのか、といった議論があります。このあたりをどのように考えていますか?

 当然ながら、アプリケーションもプラットフォームもどちらも重要です。CRMのエリアはアプリケーション領域であり、基本的にはユーザーはベスト・オブ・ブリードの考え方でいくと思います。これまで「この機能はいらないけど、あの機能が欲しい」といった企業の要望をもらい、それで機能を拡充していった。実はこの流れは日本市場がつくったものなのです。

--宇陀さんが率いる日本法人がSalesforce.comのプラットフォーム路線を切り拓いたということでしょうか。

 米本社は、もともとの方針通りアプリケーションの販売に注力していましたが、私は「思うようには売れない」と判断し、プラットフォームビジネスへの移行を進めていったのです。米国人には「あれがない、これがないなどと言わずに、そこにあるものを売りなさい」という考え方があります。

 しかし、私は違う考え方でした。削るべき機能を削り、加えるべき機能を加え、その分だけ価格を変動させるというやり方を定着させたのは日本法人の功績といえるでしょう。今、米国本社にもこの考え方が定着しつつあります。

 背景には、CRMなどのアプリケーションを使うのは、あくまでも営業など限られた職種の人だけであるという考えがあります。一方で、アプリケーション向けプラットフォームを提供することで、薄いながらもさまざまな職種、業種の人がわれわれのソリューションを使うことになります。ある意味で、顧客企業の全職種の社員に関われるわけで、こちらの方が市場は大きくなるのではないか、と感じています。

 実際、日本郵政などの大規模環境では10万ユーザー以上、損保の東京海上日動などはパートナー企業まで使ってもらっているため、二十数万ユーザーに及ぶのです。

 クラウドの最大の特徴は、ベンダーとユーザーという関係だけではなく、一緒にビジネスができるということです。人と自動車、販売店、メーカーをつなぐソーシャルネットワークサービスをChatterで構築するコミュニティ「トヨタフレンド」などが典型例です。トヨタのような巨大企業でさえ、自前でITのサービスをつくるよりも専門的に提供するベンダーと提携したほうがいいと考えているのです。ですから、早くこうしたサービスをプラットフォームとして標準化して提供していきたいのです。そこが最大のキーポイントです。

 その意味で、すべての人にとって、このプラットフォームはビジネスチャンスなんです。

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