4Gキャリア: ついに4G LTEがサポートされた。Appleは「新しいiPad」で4G LTEをサポートしていたものの、大衆からの支持は得られなかった。その理由の1つとして「テストケース」である北米以外ではネットワーク間の互換性がなかったという背景を挙げることができるだろう。そして、いくつかの法的ないざこざが起こった結果、製品名称から「4G」の文字が外されることになった。
今回のiPhone 5は、世界中のほとんどのLTEネットワークをサポートしている。これにより、業界の水準を定める企業と目されているAppleは、同社の目から見て4G LTEという技術が普及段階に達したというメッセージを発信している。また同社は、当初から通信キャリアと連携し、LTEに積極的に取り組んでいくことで、新しいiPadの時に直面したような厄介ごとを避けられるはずだ。
しかし4Gというトレンドにキャッチアップするための代償として、Appleは世界市場に対応した3種類のiPhoneを製造することになり、製造コストの増大を招く結果となった。とは言うものの、ポジティブな見方をすれば、新しいiPadの時のように、最初に失敗をしでかしても、その後で間違いを正していく方が良いはずだ。Appleはそういったことを実践したというわけだ。
部品メーカー: サムスン電子は、依然としてAppleのサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしているため、スマートフォン市場でiPhoneが売れれば売れるほど、その宿敵であるAppleから利益を得ることになる。見積もりでは、Apple製品を構成する全部品のうち、約4分の1はサムスンによって提供されている。携帯電話市場のシェアでサムスン製品がiPhoneに負けたとしても、同社はAppleやその他の携帯電話メーカーに販売しているチップやメモリから莫大な売上を得られるのである。
世界最大の通信機器メーカーであるEricssonをはじめとする他の部品メーカーは、iPhone 5の4G LTE対応版の売上に弾みがつけば、LTEチップの販売による多大な恩恵を被ることになるだろう。また、QualcommもiPhone 5に搭載されているチップによって大きな利益を手にするはずだ。Appleのサプライチェーンの健全さは、その製造プロセスの健全さがどのようなものであれ保たれるはずだ。
Appleはスマートフォン市場において2位の座に甘んじているものの、Piper JaffrayのアナリストGene Munster氏は、Appleが9月締めの現四半期中に2700万台のiPhoneを販売すると予測している。