各方面への多様な影響
Apple: カリフォルニア州において最も製品情報の流出が多いAppleは、この10年で最も期待度の高い製品の情報統制に失敗した。アジアにある同社のサプライチェーンからの情報流出によって、同社がいかに一般大衆から注目されていたのかが分かるものの、先日の発表イベントでは感激や興奮、ちょっとした驚きがなくなる結果となった。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏による「秘密保持に対する努力を倍増する」という誓いにもかかわらず、iPhone 5は同社の歴史において最も情報が流出した製品となった。
普段は好意的な批評家たちも、すぐさまこのイベントに言及した。ZDNetの編集長であるLarry DignanはSteve Jobs氏の壇上での存在感を回顧し、ZDNetの編集者であるAndrew NuscaはAppleの秘密主義が「終わりを迎えた」と主張している。
Google: Appleは「Google Maps」を捨て去り、自社製の地図情報サービスに置き換えるとともに、「YouTube」アプリの搭載を取りやめた。これにより、検索業界の巨人は大きなビジネス機会を失ったと言える。結果としてiPhone 5においてGoogleが関与する機能は、検索エンジンと電子メールのサポートだけとなる。
そして、Googleが所有、開発、リリースしている「Android OS」も負の影響を受ける。9月12日のイベントでAppleがiPhone 5を発表するまで、LTEをサポートしているスマートフォンはAndroid搭載製品だけであったことを考えると、iPhone 5の4G LTE搭載によってAndroid携帯市場にも影響が及ぶはずだ。LTEと言えばAndroidという状況があり、さまざまなAndroid搭載携帯が市場に出回っていたおかげで、多くの人々がこのOSを利用してきた。しかし、iPhoneのキャッチアップにより、Googleの優位性が揺らぐ可能性も出てきた。
モバイル決済企業: NFC搭載機器の少なさもあり、Googleやその他のモバイル決済企業は、「Google Wallet」やその他の非接触型決済サービスを実際に利用している人がほんの少ししかいないにもかかわらず、苦戦を強いられている。もっとも、NFC対応のクレジットカードやデビットカードを持っている筆者のような人間にとっては、NFC搭載機器がなくても何の問題にもならない。携帯電話を使うのも、財布を取り出してカードをカードリーダーにタッチさせるのも手間は変わらないのだ。
NFCを搭載しないというAppleの決断は、非接触型決済技術やタギング技術が普及するかどうかまだ分からないという認識の表れと言える。Appleが普及にめどのついていないテクノロジを搭載することはない。AppleのシニアバイスプレジデントであるPhil Schiller氏はAllThingsDに対して「今日のユーザーが必要とするようなことは『Passbook』で実現できている」と語っている。NFCは既存のどのような問題に対しても、まだ解決策にはならないというわけだ。