アドビのキーパーソンに聞く「Edge Tools & Services」の魅力 - (page 3)

杉山貴章(オングス)

2012-09-26 19:10

 いろいろな方法がありますが、代表的なものとしてはパイプラインプログラムというものがあります。

 これは極めてシステマチックなメソドロジーです。まず、Adobe社内や顧客、ユーザーなどから様々な要望やアイデアを集め、重要だと思われるものから優先度をつけていきます。そして優先度の高いものについては、シンプルなプロトタイプを作ります。

 このプロトタイプをもとにして各方面からフィードバックを受け取り、さらに次のプロトタイプを作ります。これを何度も繰り返してアイデアをブラッシュアップしていきます。もちろん途中で破棄されるアイデアもたくさんあり、最後には本当に必要なものだけが残るわけです。

--ズバリお聞きしますが、そのようなアイデアの中で、Adobeが次に準備しているツールはどんなものでしょうか

 まずはEdge Reflowです。昨日公開したのはスニークピーク版で、ツールとしてはまだまだ未熟なのもです。この開発を進め、今年度内にはプレビュー版を出したいと考えています。

 その他には、まだアイデアの段階ですが、社内では「ガジェット」と呼ばれているツールがあります。Webページ内のコンテンツに対してグラフィカルなUIで個別にプロパティを設定したり、コンテンツごとにバージョンの管理を行ったりできるというものです。それとは別に、プロトタイプを素早く構築するようなツールや、HTMLのためのドローイングツールなどといったアイデアもあります。

 Webの進化のスピードは速いですから、ユーザーのニーズも変化していきます。パイプラインプロジェクトを活用して、そのときにユーザーに何が望まれているのかを適切に判断しながらプロダクトを増やしていく予定です。

ダニー・ウィノカー氏
ダニー・ウィノカー氏

「日本の方々のクリエイティビティの高さを見せてほしい」

--これだけの速度で変化し続けるWebの世界で、開発者やデザイナーが技術を高めていくために、Adobeからはどのようなサポートが期待できますか

 基本となるのは、とにかくより良いツールとサービスを継続的に提供し続けるということです。Edgeがみなさんの良いサポートになると思います。最新の技術を簡単に利用できるようにしていきます。

 その他に、ADC(Adobe Developer Connection)などを通じて最新の技術情報やベストプラクティスをお伝えするといったことも積極的に行っています。アプリケーションの具体的な実装方法などもここで学習することができます。

 また、世界中のローカルなコミュニティとも積極的に関わりを持ち、情報の提供を行っていきたいと考えています。Create the Webもその一環として、サンフランシスコの他にロンドン、東京、シドニーでの開催を予定しています。それ以外にもできるだけ多くの地域に足を運んでコミュニティの皆さんと活発な交流をはかっていくつもりです。

--最後に、日本のデザイナーや開発者に向けてメッセージをいただけますか

 Edge Tools & Servicesには無償で利用できるプログラムが用意されています。ぜひCreative Cloudの無料メンバーシップに登録して、HTML5やCSS3、JavaScriptの世界における新しいエクスペリエンスやケイパビリティを体験してください。

 積極的なフィードバックもお願いしたいと思います。それによって私たちのツールやサービスをより良いものにしていきます。そして、願わくばコミュニティの中で活発に意見を交わし合えるような形を作り上げていけたらと思っています。

 日本のクリエイターの方々は非常に高度なセンスと技術を持っています。リッチで美しいコンテンツを作り上げる能力があります。私は過去にFlash Liteの開発や販売を担当し、そのときに日本の方々のクリエイティビティの高さに触れました。それをまた私たちに見せてくれることを期待しています。

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