Microsoft Conference 2012

個人が動かした企業のIT活用--日本マイクロソフト樋口社長

三浦優子 怒賀新也 (編集部) 2012年09月27日 19時13分

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 日本マイクロソフトは9月27日、同社にとって最大のイベント「The Microsoft Conference 2012」を開催した。今回は8300人の事前申し込みがあり、締め切り前に募集を打ち切るほど盛況となった。

 冒頭のVision Keynoteでは樋口泰行代表執行役社長が、「Windows 8、Windows Server 2012、次期Officeと主軸三製品が同時期にリリースされる。当社としてはこれまでにないアピール活動を行っていく」と宣言。さらにコスト削減、事業継続性が焦点となっていたIT活用が「個人のデバイス多様化、ソーシャル活用」「企業のバックエンドシステムのクラウド、ビッグデータ活用」「ジェスチャー、音声認識、マシンラーニングなどの活用」によって新時代を迎えると、事例と共に新しいIT活用の方向性を示した。

樋口泰行代表執行役社長
樋口泰行代表執行役社長

 樋口社長のVision Keynoteは「今、求められる経営改革と情報基盤 ~グローバル+スピード+ダイナミズム~」と題して、経営にプラスとなる新しいタイプのIT活用がスタートしていることをアピールする内容となった。

 企業がITに求めるニーズの変化として、「震災後、日本経済は厳しい環境が続いている。コスト削減、災害に対応できるITを考えない企業はないといっていい。ただ、“守りのIT一辺倒じゃ駄目だよね”という声も高まってきた。会社の風通しをよくするためにITを使いたい、ガバナンス強化をITによって実現したい、競合との戦い方もインテリジェンスにといった攻めのITへのニーズが高まってきている」と攻めのIT活用が求められていることを挙げた。

 ITを導入することで企業に変革を起こすことが求められるが「ITによってイノベーションが起こるのではなく、イノベーションを支えるのがITとなる。しかも中心になるのはITではなく“人”で、人や経営を変えていくのにITが大きな力を発揮する」と話した。

日本マイクロソフトの西脇資哲エバンジェリスト
日本マイクロソフトの西脇資哲エバンジェリスト

 このIT導入による“人”の変化は日本マイクロソフト自身が体験したもので、自社システム「Lync」導入によって、電子的な情報の摺り合わせが実現。「人的交流のために大部屋に様々な部署の人間を集める仕組みを作り、人材交流を図るというやり方があるが、当社自身がLync導入によって人とのつながりが大きく変わった。ニーズがあった時に即すり合わせ、フェイス・トゥ・フェイスが重要ではあるが、その前に様々な情報交換をする体制が出来上がっている」と実体験を基にしたメリットを挙げた。

 ITがコンシューマ起点で大きく変わり、スマートホンやタブレットといった様々なデバイスの活用やTwitterやFacebookといったソーシャルメディアの活用によって、朝起きた瞬間から寝る時まで、絶えずデジタルデバイスを活用しているユーザーも登場。それに呼応して企業のITシステムもクラウドの普及、ビッグデータの活用といった新しい方向性が見えてきていることに言及した。

 「こうした変化と共に、音声認識やジェスチャー認識がもっと必要になってくる。デバイスの中に音声認識やジェスチャー認識が入り込むようになるだろう。コンシューマユーザーの変化から企業の変化、音声認識やジェスチャーといった新しいインターフェイスへの対応まで包括的に提供しているのがマイクロソフト。トータルなソリューションを持っていることで、それぞれがつながっていくことでどうなるのかという答えを持っている」として新しいタイプのIT事例が生まれていることを挙げた。

 Kinect for Windowsを導入し、ジェスチャーによる入力事例としては東京女子医大の脳神経外科インテリジェント手術室の手術風景がビデオに登場。

Kinectを利用することで、買われた商品だけでなく、手に取ったものの棚に戻される頻度を棚の位置別に把握できる
Kinectを利用することで、買われた商品だけでなく、手に取ったものの棚に戻される頻度を棚の位置別に把握できる

 さらに、日本マイクロソフトの西脇資哲エバンジェリストが、Kinect for Windowsを活用した(1)バーチャル鞄ショッピング、(2)小売店の飲料販売棚をモデルケースとして利用した「ショーケーストラッカー」、(3)ATMで電話を見ながら操作する人に対して詐欺の可能性があることを警告するデモを行った。

 いずれも新しいタイプの事例ではあるがデモはそれにとどまらず「クラウドを使うことで構造化されていないデータを多数蓄積し、ビッグデータにつながることが大きな強みだが、蓄えたデータを可視化し、賢く使うことに本当の意味がある」(西脇氏)とジェスチャーソリューションから上がってくるビッグデータを分析し、活用してみせた。

 バーチャル鞄ショッピングでは、鞄を購入する際、鞄を身体にどれくらい近づけたかなどのデータを記録。身体のどこに鞄を近づけた人が実際の購入に結びついているのか、鞄の色によって違いはあるのかなどの数値データをExcelで分析した。

 ショーケーストラッカーでも、購入データにとどまらない、商品を選ぶ際の行動や仕草を記録することで、棚割の見直しといったことに利用できる。

Windows XP搭載の既存パソコンにUSBを差して再起動するだけで、Windows 8ベースのパソコンとして利用できる。
Windows XP搭載の既存パソコンにUSBを差して再起動するだけで、Windows 8ベースのパソコンとして利用できる。

 また、可視化されたデータを確認する方法としてWindows XPが搭載されたパソコンにWindows 8がインストールされたUSBメモリを指して、Windows 8を起ち上げ、必要な作業を行い、Windows 7とWindows 8の併存環境のデモを行い「働き方の変化を側面からサポートするのがWindows 8となる」(西脇氏)してデモを締めくくった。

 これを受けて再び樋口社長が登場。「これから1年間、強力な製品が続々登場するが最大の目玉はWindows 8。10月26日の発売日にはパソコンメーカー各社からたくさんの機種が出てくるので、是非体感してほしい」と話し、Windows 8によりIT活用に変化が生じることを強調した。

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