アイ・ティ・アール(ITR)の調べによると、2011年度のデータ保護ソフトウェア市場は前年度比13.9%増の260億円になったという。東日本大震災後、企業でバックアップとリカバリ関連システムの見直しが進んだことが背景にあると説明している。
同市場は、データバックアップ、システムバックアップ、継続的データ保護(CDP、データ更新状況を把握して、どの時点でも復旧できるシステム)のほか、ハードウェアとソフトウェア統合型のアプライアンスの4つに分類される。どの分野でも2011年度は2桁増の成長を示している。2011年度のベンダーシェアを見ると、シマンテック、CA Technologies、EMCの上位3社でほぼ6割を占め、順位は2010年度と同じだ。
ITRは、データ保護ソフトウェア市場を含む運用管理市場を調べている。2011年度の運用管理市場全体は、前年度比10.2%増の1463億円。同市場は、データ保護ソフトウェアのほかに、仮想化構築、クラウド管理、IT資産管理とPC資産管理、変更構成管理の5つの製品分野で構成される。
仮想化構築市場は前年度比35.5%増、クラウド管理市場は同44.4%増で最も高い伸びを示している。マイクロソフトの躍進でIT資産管理市場が同21.7%増、PC資産管理市場が同21.2%増と2010年度の伸びを上回っている。変更構成管理市場は同16.2%増と成長が継続しているという。
これらの製品分野が運用管理市場を牽引していくことから、市場全体の2010~2016年度の年平均成長率(CAGR)は7.8%を予測。中でもクラウド管理市場のCAGRは22%と高い成長率で推移していくと見ている。同社のシニア・アナリストの金谷敏尊氏が以下のようにコメントしている。
「サーバ管理やサービスデスク、PC資産管理などいくつかの分野では、パッケージ製品とともにSaaSでも提供するベンダーが存在する。だが、運用管理のSaaS提供はまだ国内では市場として立ち上がっている状態にはなく、多くはパッケージの補完的な位置付けにとどまっている。短中期的には、これまで通りパッケージが大半を占めると予想する」