Microsoft Conference 2012

ハードウェアとネットワークの進化を最大限に利用する「次期Office」

怒賀新也 (編集部) 2012年09月28日 20時14分

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 日本マイクロソフトは9月27日から2日間、同社最大のイベントである「the Microsoft Conference 2012」を開催している。2日目のテーマは「次期 Office」。業務執行役員でOfficeビジネス本部長のロアン・カン氏は、同日に発表した楽天によるOffice 365導入や、KDDIが社員のコミュニケーション環境改善にLyncをはじめとしたマイクロソフト製品を導入したことを紹介しながら、多様なデバイスやクラウド環境、ソーシャルの要素を意識した新たなOfficeの方向性を示した。

 カン氏が冒頭で示したOfficeの製品コンセプトは「あらゆるデバイスで、オンプレミスとオンラインを適宜組み合わせて快適に利用できる」こと。

Officeビジネス本部長のロアン・カン氏
Officeビジネス本部長のロアン・カン氏

 Officeユーザーを取り巻くワークスタイルのトレンドとして「デバイス、クラウド、人とのつながり」をカン氏は挙げた。2016年までに利用されるスマートフォンの数は10億台に上り、うち3億5000万台がビジネスで利用される。50%の大企業ユーザーがクラウド移行中、全世界のインターネットユーザーのうち82%がソーシャルネットワークを利用していると、それぞれ数字を交えてトレンドを裏付けた。

 この日発表された事例で、楽天はグローバルに事業を拡大させる「楽天主義」を支えるクラウドサービスとして、Officeをクラウド経由で利用するクラウドサービスであるOffice 365のExchange Onlineを導入したという。社員は国内だけでも1万人を突破。メールシステムの運用に大きな負担が生じていたという。

 楽天はここで、Office 365とGoogle Appsを比較し、ログの取得とセキュリティ、ユーザビリティ、グローバルでの活用の観点からマイクロソフト製品を採用。楽天のレビーン・ジョナサンCIOが「時間と人的なリソースをコア業務に集中できた」とのコメントを寄せている。

 次期Officeにおける「クラウドサービス」の新たな機能の1つが、クラウド環境へのファイルの保存だ。ファイルはデフォルトでクラウド上の「SkyDrive Pro」に保存される。コンシューマー向けに提供されるクラウド上のファイル保存環境であるSkyDriveとマーケティング上の理由で名前をそろえたが、企業向けであるSkyDrive Proの実態はSharePointの一機能であり、コンシューマー版とは別物だ。

 SkyDrive Proでは、ファイルをクラウドだけでなくローカルにも置けるため、ユーザーはオンラインでもオフラインでもOfficeのファイルをストレスなく扱えるという。例えば、オフラインで作業したファイルはオンライン時に同期されるため自動的に最新版として保つことが可能。ユーザーIDで管理するため、読んでいる途中のファイルに別のデバイスからアクセスしても、前回終了した箇所から続けて読むことができる。

リッチクライアントという最善策

 カン氏はOfficeをクラウドで利用する際のカギとして、リッチクライアントを挙げた。リッチクライアントとは、企業のIT環境の中でアプリケーションの実行環境のみを搭載したもの。必要に応じて、アプリケーションをダウンロードして実行するため、通常のいわゆるファットクライアントに比べて配布や導入に手間がかからないのが特徴だ。

デバイス、ソーシャル、クラウド、管理が次期Officeのテーマだ
デバイス、ソーシャル、クラウド、管理が次期Officeのテーマだ

 「ムーアの法則が生きている。今のスマートフォンは以前のスパコン並みの性能がある。使わない手はない」(カン氏)

 一方、ネットワーク経由のデータ転送について「ビットに変換し、光ネットワーク、海底ケーブルを通じてデータセンターに送られる。ここで発生する遅延はどうにもできない」とし、デバイスの能力を利用するローカル環境とネットワークを並存して利用する方法が最善であると説明した。

 次期OfficeでもMicrosoftは、リッチクライアントを簡単に導入できる機能「Click to run」を提供する。これはソフトウェアをネット経由で高速配信する仕組みで、ストリーミングと仮想化技術を使いユーザーの待ち時間を大幅に減らせるもの。

 このように、デバイスの能力を引き出しつつクラウドサービスを最大限に使いこなすことによって、次期Officeの生産性は高まっているようだ。

 ここではあまり触れなかったが、Lyncのプレゼンス機能を活用し、ソーシャルメディアの要素を取り入れた情報共有の仕組みも注目される。管理を担当するIT部門向けには、「Officeを立ち上げた」などエンドユーザーの動きをエージェントが集め、データベース化する機能「Officeテレメトリダッシュボード」も紹介されていた。

 日本マイクロソフトによると、「Office 13」と呼ばれることもある次期Officeの名称について、現状では「次期Office」のままにしておくという。

 また、2012年7月の「Microsoft Worldwide Partner Conference 2012」で発表した「Office 365 Open」を日本でも展開することが分かった。Office 365 Openは、Officeをクラウド形式で提供するOffice 365の販売方法として、パートナー自身が独自の工夫などを加え、エンドユーザーに販売して請求書を発行できるという仕組みだ。従来は、一部のパートナーを除き、マイクロソフトの売り上げの一定割合がパートナーにキックバックされるという形式のみしかなかった。

 なお、次期Officeの提供時期などの詳細は明らかになっていない。

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