開発プロセスとしては、アジャイル開発の一手法であるスクラムを採用しており、Pullリクエストに対しては毎日レビューして、2週間半ごとに新しいリリースを出すようにしているという。開発コミュニティにはAdobeの社外の開発者も多数参加して活発に活動しており、その成果としてBracketsの機能は日々拡張を続けているのだと説明している。
さて、このBracketsをベースとしてAdobeが独自の拡張を施してリリースするのが、Edge Tools & Servicesに含まれるコードエディタのEdge Codeである。具体的には、Edge Web Fontsと連携してウェブフォントを選択できるパネルや、PhoneGap Buildと連携してモバイルアプリを作成する機能などが追加されている。Edge CodeはCreative Cloudのメンバーシップであれば、無償で利用することができる。
基本となるコードは今後もOSSとして開発が続けられるため、誰でも手軽に利用できるし、独自の拡張を行ったり、その成果をコミットしたりすることも可能である。それに対して、Creative Cloudメンバー向けには、さらなる付加価値を追加したものが提供されるということだ。BracketsとEdge Codeの関係は、OSS由来のプロダクトではごく一般的に見られる形なので比較的分かりやすいだろう。
Bracketsの今後の展開としては、2012年中にさらに新しいアイデアの追加やコア機能の拡張などが行われる予定であり、続く2013年にはタブレット端末への対応やクラウドへの対応などといった拡張が考えられていると説明している。
Cristophe Coenraets氏
Apache CordovaとPhoneGapとPhoneGap Build
モバイルアプリ開発フレームワークのPhoneGapも、Bracketsと同様にOSSをベースとしたAdobe製品という位置付けになる。
PhoneGapはHTMLやCSS、JavaScriptで作成されたウェブアプリケーションを、各種モバイルプラットフォーム向けのネイティブアプリに変換するフレームワークである。ネイティブコードは一切書く必要がないが、実行時はネイティブアプリとして動作する。
PhoneGapアプリがネイティブで動作するのは、内蔵するレンダリングエンジンのWebViewがウェブアプリを実行するための基盤として使われているからである。そのため、AdobeのデベロッパーエバンジェリストであるCristophe Coenraets氏は「PhoneGapはラッパーである」と表現した。
同氏はまた「PhoneGapはブリッジでもある」とも表現している。カメラや電話帳などといったデバイス固有の機能に対しては、PhoneGapが共通のAPIを提供することで、プラットフォームごとの実装の差異を吸収してくれるからだ。
※クリックすると拡大画像が見られます
※クリックすると拡大画像が見られます