IDC Japanは10月3日、国内のビッグデータ技術/サービス市場予測を発表した。2011年のビッグデータの技術とサービスに対する企業の支出額は142億5000万円、2012年は前年比38.2%増の197億円と予測。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は39.9%、2016年には765億円になると予測している。
IDC Japanでは、同市場としてサーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、サービスの5分野別に分析。CAGRが最も高いのはストレージで50.4%、続いてソフトウェアが45.3%となり、ストレージとソフトウェアは全体のCAGRを上回っている。
産業分野別に推移を分析すると、最もCAGRが高いのは通信メディアと情報サービスで41.0%と予測。金融、小売りや卸、通販といった流通、公共などの官公庁もCAGRが40%以上となり、市場全体を上回ると分析している。
2011~2016年の国内ビッグデータ技術/サービス市場の支出額予測(出典:IDC Japan)
IDC Japanが8月に発表した、2011年の国内IT市場の支出額は13兆1665億円であることから、ビッグデータ技術/サービス支出額はIT市場全体の約0.1%となり、同市場は黎明期にあると表現している。
国内企業1050社に対してビッグデータ関連の需要動向調査を実施すると、企業の情報システム部門でのビッグデータの認知度は56.%と半数を超えているが、業務部門では31.1%と低い。ビッグデータの活用を具体的に検討しているとの回答は全体の13.6%(IT部門の回答)、実際にビッグデータ活用のためのシステムを導入済みという回答は全体の2.6%(IT部門の回答)と、ごく一握りの企業であることが判明している。
これらのビッグデータ活用をすでに実施しているか具体的に検討している企業の中で、ビッグデータの活用項目としてソーシャルメディア分析を実施しているか検討している企業は12.4%と少数派だった。ビッグデータ活用の目的として最も多くの企業が1位として挙げたのは「不正取引や不正アクセスなどのリスク管理」で、回答率は27.3%となっている。
調査結果からは、多くの企業がビッグデータを活用する以前に、ビッグデータを活用するための技術的コンサルティング、活用や分析のためのコンサルティングを求めていることも明らかになっている。
こうした結果から、現時点では保有するデータ量が小さい企業であっても、今後ビッグデータ活用に取り組んでいくことを想定した時、第一段階として求められるのは、ビッグデータの管理体制、投資対効果を見据えた関連技術の評価サービス、第二段階として技術やサービスを活用した実証実験を低価格で提供できる支援体制が求められると分析している。
そのために解決策を提供するプロバイダーは、ビッグデータに向けたストレージやサーバ、ソフトウェアといった製品訴求にとどまらず、黎明期にある現時点では、段階的なコンサルティングサービスを低価格で提供していくための先行投資が必要としている。IDC Japanの赤城知子氏(ソフトウェア&セキュリティグループマネージャー)は以下のようにコメントしている。
「プロバイダーは、ビッグデータ活用による未来ビジョンを明確に示した“Thought Leadership”に取り組み、技術のみならずサービス面の強化に先行投資が求められている。ビッグデータ活用の有効性について、顧客とともに理解を深めていくことが必要である」