セキュリティ製品:ホワイトリスト型と情報漏えい対策への需要高まる

田中好伸 (編集部)

2012-10-04 14:42

 IDC Japanは10月4日、2011年の国内セキュアコンテンツ/脅威管理市場の実績と2016年までの予測を発表している。ソフトウェアとアプライアンスを含めている。2011年は前年比2.4%増の1343億円となっている。

 2011年は東日本大震災の影響からIT支出が抑制されていたが、特定の企業や組織を継続的に狙う標的型攻撃の事件が相次いで発生、モバイル端末向けのマルウェアが急増したことから、同市場への需要が高まった。

 これらのニーズから同市場全体の8割を占めるソフトウェアは、2012年以降もエンドポイントセキュリティを中心に需要が高く、市場拡大をけん引するとみている。同市場の2011~2016年は3.8%の年平均成長率(CAGR)で推移し、2016年の市場規模は1622億円に拡大すると予測している。

 2011年の同市場の中で個人向けエンドポイントセキュリティ市場は前年比8.2%増と最も高く、市場規模は446億円。2011年からスマートフォンやタブレット端末向けのウイルス対策製品が本格的に国内市場に投入され、市場の成長をけん引している。

 個人向けエンドポイントセキュリティ市場は、今後もスマートデバイス向けのウイルス対策製品の導入が広がり、新しい需要拡大が見込まれるとしている。2011~2016年のCAGRは4.8%、2016年の市場規模は562億円と予測している。

 2011年の企業向け市場では、エンドポイントセキュリティ市場が前年比5.3%と最も高く、市場規模は316億円。標的型攻撃で使われるゼロデイ攻撃など未知の脆弱性を突くウイルスが増加していることから、安全性の高いファイルやアプリケーション、ウェブサイトのみを利用するホワイトリスト型など非シグネチャ型のマルウェア対策製品への需要が高まるとみている。

 サーバの仮想化対応した製品、ディスク全体の暗号化やファイル単位での暗号化などエンドポイントでの情報漏えい対策製品への需要も高まっている。2011~2016年のCAGRは4.2%、2016年の市場規模は388億円と予測している。

図 2011~2016年の国内セキュアコンテンツ/脅威管理製品市場の機能別売上高予測(2011年は実績値、2012年以降は予測。出典:IDC Japan)

 IDC Japanでは、セキュリティ上の脅威は、従来の愉快犯による不特定多数への攻撃から、執拗で巧妙化が進む標的型攻撃へと手法が変化し、ユーザーに気付かれずに攻撃するステルス性の高い脅威となっていると説明。同社の登坂恒夫氏(ソフトウェア&セキュリティリサーチマネーージャー)は以下のようにコメントしている。

 「セキュリティベンダーは、レポーティング機能の強化やセキュリティ管理製品との連携など、潜在する脅威の可視化を進めるべき。これによって、ユーザー企業で導入効果の可視化が行えるとともに、経営層の導入の必要性を提示できる」

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