アウトソーシングする際に守るべき5つのルール

Mark Samuels (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-10-10 07:30

 CIOが直面する事業目標のリストは長くなり続けており、しかもそれらの目標は、コスト効率が高く、効果的な技術戦略で実現していく必要がある。一部のITリーダーは社内開発を重視しているものの、多くの技術関連予算は、今はまだ組織の外で費やされている。

 コストに対する圧力が依然として強い中、調査会社のGartnerは、ITアウトソーシングサービスに対する世界的な支出は、2012年には2517億ドルに達すると予想している。これは2011年よりも2.1%大きい数字だ。

 もっとも成長が見込まれるのはクラウドコンピューティングの分野で、アナリストは2012年には48.7%増えて50億ドルになると見込んでいる。これは、世の中のCIOが依然として社外のサービスを重視しており、企業の壁を越えてITを調達することが、ビジネスの価値を確保する上で必要不可欠だと考えているというサインだ。

 VocaLinkの最高執行責任者(COO)であるIan Gausden氏は、決済サービス企業である同社の技術に関する全体的な責任を負っている。この記事では、同氏が話してくれた、アウトソーシング契約から最大の価値を引き出すための、CIOに向けての5つのヒントを紹介する。

提供: Shutterstock
アウトソースをする理由が金銭的なものだけであってはならないし、同様にアウトソース事業者もあなたのビジネスを単なる収益源として見るべきではない。
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1.なぜ仕事を社外に出したいかを明確にする

 これは当然のことに聞こえるかもしれないが、CIOはそれぞれ具体的な経営目標を持っており、特にアウトソーシングに関しては、具体的な目標を持つことが非常に重要だ。Gausden氏のCIOに対するアドバイスは明確だ。アウトソーシング契約に何を求めるかを決め、明確な成功の基準を持てということだ。

 「社外パートナーが、どうなれば成功であるかを理解できるよう、具体的に示す必要がある」と同氏は言う。「自分が重視する点が、自分の経営目標と合致するようにすべきだ」

 アウトソース事業者が目標から逸れないようにしたい場合、契約期間を短くすることも検討すべきだろう。「目的は発展していく場合があり、契約が長期になると、目標を達成できたかどうかを確認するのが難しくなる」とGausden氏は言う。

 同氏の考えでは、契約期間の長短に関わらず、何らかの形で契約に変化を持ち込むことは絶対に必要だ。

 「たとえばデスクトップサポートであれば、実際に行われている取引の数などに応じて料金を変更するなど、しきい値やパラメータを変更することについては理解できるだろう」と同氏は言う。

 「しかし、サプライヤーとの契約が古くならないようにすることも大事であり、柔軟性に対する要件についての考え方も持っておく必要がある」

2.正しいパートナーを選び、そのプロセスを支援してもらう

 外部パートナーから長期的にメリットを得ようとすることと、最初の段階で正しい契約を結ぶということはまったく別の問題だ。アウトソーシングは地雷になる可能性があり、契約書の小さな文字や細かいことが、もっとも注意深いCIOでさえ勘違いさせることがある。

 「あなたの考えを理解しているアドバイザーが必要だ」とGausden氏は言い、そういった専門家はさまざまなところから得られると付け加えた。大企業で働いているCIOであれば、社内にあるフルタイムの法律部門からの支援を頼ることができるかもしれない。

 そういった恵まれた環境にないITリーダーは、社外に目を向ける必要があるとGausden氏は言う。「アウトソーシングは社外プロバイダにとって専門家としての本業であり、正しい契約を結ぶことは非常に重要だ。なぜなら、契約はある種の防御になるからだ」と同氏は言う。

 Gausden氏は、社内で法的なアドバイスが得られないCIOに対して、専門的なアドバイスを提供する会社に支援してもらい、アウトソーシング契約の過不足を洗い出すことを勧めている。「契約は非常に奥深いものになる場合があり、契約書の細部に関しては、誰かに支援してもらう必要がある」と同氏は述べている。

3.準備の計画を立てる

 「適切なアウトソーシングの計画には、非常に多くの仕事が必要になる」とGausden氏は言う。CIOは、提案依頼書から契約書へのサインまで、すべてを十分に準備する必要がある。

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