米Citrix Systemsは10月17日(現地時間)、スペインのバルセロナ市内で開催中の主催イベント「Citrix Synergy 2012」にて、米Cisco Systemsとの提携を強化すると発表した。
両社のパートナーシップは、1年前に同じくスペインで開催された「Citrix Synergy 2011」に始まる。
1年前に発表されたのは、デスクトップ仮想化の分野で両社が提携し、Ciscoのネットワーク製品をCitrixのデスクトップ配信技術「Citrix HDX」に対応させることや、「Cisco Virtual Experience Client(VXC)」をはじめとするCiscoのエンドポイントデバイスと「Citrix XenDesktop」を連携させること、さらには販売とマーケティング戦略において共同投資することなどが含まれていた。
シスコとの提携の成果を語るシトリックスCEOのマーク・テンプルトン氏
この1年間のパートナーシップについて、Citrix Systemsの最高経営責任者(CEO)Mark Templeton氏は、「両社が連携することで、これまでの倍以上の勢いで数多くの企業やサービスプロバイダーなどが新たに仮想デスクトップを導入した。共同マーケティング活動も非常にうまくいっている」と述べ、両社の関係が良好であることをアピールした。
今回両社は新たに、クラウドネットワーキング、クラウドオーケストレーション、モバイルワークスタイルの3つの分野にまで提携を拡大する。基調講演の壇上に登場したCisco Systemsで技術と戦略の両方の最高責任者を務めるPadmasree Warrior氏は、「われわれは、モバイルクラウド時代に顧客が直面する課題を解決したいと考えている。今回Citrixとの提携を強化することで、こうした課題解決に向けてさらに投資していきたい」と述べた。
このパートナーシップの一環として、Ciscoは自社開発していたアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)の開発を中止。今後も既存顧客のサポートは続けるとしているが、新規顧客に対しては「Citrix NetScaler」を同社推奨のADCとすることを表明している。
ほかにも具体的な提携内容として、企業向けおよびサービスプロバイダー向けに両社の統合クラウドソリューションを開発するとしている。同ソリューションは、「Cisco Unified Computing System(UCS)」や「Cisco Nexusシリーズ」、「Cisco Open Network Environment(ONE)」のコンポーネント、そして「Citrix CloudPlatform」などがベースとなる。
シスコで技術と戦略の最高責任者を務めるパドマスリー・ウォリアー氏。IT業界の女性エグゼクティブとしても著名だ
また、Ciscoのコラボレーション技術とJabberクライアントを「Citrix Receiver」や「Citrix CloudGateway」と連携させ、さまざまなデバイスからビジネスアプリケーションやサービスなどに安全にアクセスできるBYODソリューションを共同で開発する。このソリューションには、企業向けクラウドストレージサービスの「Citrix ShareFile」も含まれる予定だという。
Warrior氏は、「CiscoとCitrixは顧客中心という考え方や方向性が似通っている。また、これまでの経験から、顧客からの要望で始まったパートナーシップは成功すると感じている。今回はまさに顧客が望んでいたパートナーシップで、だからこそうまくいった」と提携の成果を述べた上で、「いま市場はモバイルクラウド時代への大きな変革期を迎えている。この時期に両社で何ができるのか考えた結果、さらにパートナーシップを拡大することになった」と説明した。
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