アジャイル開発を「アジャイル」に保つための10のルール - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-10-31 07:30

6.慎重なペースで進める -- 急ぐ必要はない。「アジャイルへの移行は刺激的なことなので、急いで移行し、プロセスを選んで、ツールを導入し、すぐに始めたいと思う場合もあるだろう」と、Ambler氏とHolitza氏は言う。しかしその場合、アジャイル支持者たちは、テストの混乱や規模の問題、複数のチームが協調して作業することの難しさなどの大きな壁にぶつかってしまう可能性が高い、と同氏らは警告する。

7.コーチを招く。アジャイルは、企業のテクノロジに対する見方の変化を意味する。そして、文化的な変化が起こる時には必ず、「コーチングが欠かせない」とAmbler氏とHolitza氏は言う。「開発者は変化を好まないし、多くの人は自分のやりかたで働くのが好きだ」。アジャイル開発手法を導入すれば、開発者たちは5、6人から10人の他の人たちと協調しながら働く必要が出てくるかもしれない。それに加え、ビジネスユーザーの側も、開発チームと一緒に働くことを学ぶ必要がある。こういった理由から、コーチを招いて、人々が互いに対立するのではなく、一緒に働くことを学べるようにすることが望ましい。コーチはプロフェッショナルでもいいし、コミュニケーションややる気を出させることに長けた、特別に選ばれた従業員でもいい。

8.ガバナンスの修正、改良、導入。アジャイル開発への移行は、大昔から決まっていたプロセスや手続きについて考え直すということを意味している。素早さの実現は、従来のどちらかと言えばIT部門に閉じた取り組みに比べ、ビジネス部門の支援に頼る部分が大きいということを念頭に置いてほしい。著者らによれば、「今ある従来のガバナンスのプロセスを変えるのは、組織内政治や企業の歴史、あるいはコンプライアンスの遵守にマイナスの影響を与える可能性があるという恐れから、非常に難しい場合がある」という。「一般に見過ごされているが、プロジェクトの資金獲得、変更管理、ステージゲートなどのガバナンスの領域は、素早さに劇的な影響を与える場合がある」

9.とにかくトレーニング。組織はとにかくトレーニングを十分に行わない傾向があるが、アジャイルはそうした投資が絶対に必要な分野だ。けちなマネージャーは、中心になる何人かだけにトレーニングを受けさせ、「その人たちが新しいアプローチを実現しようとする中で、組織の残りをトレーニングできるだろうと考える」ようなことがある。しかし、これはうまくいかない。アジャイルは、組織全体のやり方を変える取り組みであり、全員がスピードアップされ、啓蒙される必要がある。著者らが言うように、 「アジャイルには、振る舞いやプロセスの変更が関わっている」。アジャイルが継続的な改善を意味するように、人々のスキルも継続的に改善されていく必要がある。

10.正しいツールを選び、ツールを正しく使う。アジャイルの正しいツール選びの目的は、プロセスをできる限り自動化しつつ、進捗状況を測る方法を手に入れることだ。「もしツールが一貫性のない使われ方をすれば、基準は状況を正しく反映せず、ビルドは正しく実行できず、全体的な作業フローや品質に問題が生じる」とAmbler氏とHolitza氏は述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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