教育市場:教育については、23日におけるハードウェア発表のそこかしこで言及されていた。これはイベントにおける目玉でこそなかったものの、特に幼稚園児から高校生に至るまでに焦点が当てられていた。
Appleは、低価格の(少なくともApple製品としては)タブレットと、新バージョンの「iBooks」アプリによって、iPadが教育市場に及ぼす影響の重要性を力説していた。Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、先のイベントにおいて「われわれは幼稚園から高校までの教育市場に積極果敢に攻め入ってきており、競争という観点で見れば、その方針を変更する気はない。ここ数年、数多くのタブレットが市場に投入されているものの、市場をけん引できていると感じられる製品はまだ出てきていない」と述べている。
ZDNetの編集者であるAndrew Nuscaの指摘によると、Appleの第3四半期は第2四半期に引き続き、教育市場におけるiPadの販売台数がMacの2倍あるという状況になっており、これは教育界がポストPC時代へと向かっていることの表れであるという。また、Andrewは「これをユースケースという観点から見た場合、ゼロサムゲームにはなっておらず、Apple製品が開拓する余地のある市場がまだ存在するということだ」とも述べている。
各方面への多様な影響
Apple:同社はiPadの記録的な売り上げを達成し、タブレット市場において大きなシェアを握ってはいるものの、iPad miniの発売によって既存のタブレット製品ラインアップに難しい問題がもたらされることになった。
AppleのiPadがPCの売り上げを浸食し始めたという報道が既になされている。先のメディア向けイベントにおいて、Cook氏は6年以上にわたってMac販売の伸びがPC市場の成長を上回っている事実に言及した。同氏はまた、第2四半期におけるiPadの販売実績が、他のいずれのPCメーカーの販売実績をも上回っていた点についても言及した。iPadが人気のデバイスとなっているのは明らかであり、それは間違いのない事実なのだ。
しかしBusiness Insiderは、先のイベントにおけるiPad miniの発表とともに「iPad 2」は「死んだ」と主張している。iPad 2の販売は、ここしばらくのうちは継続されるものの、その販売が終了した時点でiPad miniがその座を引き継ぐはずだ。iPad miniはiPad 2より70ドルも安いうえ、iPad 2にない機能が色々搭載されている点を考えると、iPad miniではなく、より大きなiPad 2を買う人がいるとは考えにくい。
Appleの利益幅はどうなるのだろうか?大きく違ってくるはずだ。サムスンやGoogle、Amazonのタブレットと比較すると、iPad miniの価格には付加価値が上乗せされているとはいえ、iPad miniはiPad 2や新しいiPad 4(先のイベントで発表された、Retinaディスプレイを搭載した第4世代となる改良型のiPad)よりも利幅は薄くなっているはずだ。Appleがこれまで以上の利益を出し続けようとするのであれば、iPad miniの販売実績はiPad 2のそれを上回らなければならない。
Piper Jaffrayのアナリストであり、Appleに詳しいGene Munster氏はAllThingsDに対して「小型版iPadが販売されることで、12月には通常版iPadの販売数が100万台減少する、あるいは20%の割合で販売が浸食されるだろうとわれわれは確信している。(このため)小型版iPadが500万台売れるたびに、通常版iPadの販売数が100万台減少することになる」と述べている。