透過的なクラウド「Oracle Cloud」の可能性

田中好伸 (編集部)

2012-11-01 16:10

 日本オラクルは10月30~31日にイベント「Oracle Days Tokyo 2012」を開催。2日目の基調講演には米Oracleでプロダクトマーケティングを担当するグループバイスプレジデントのRobert Shimp氏が登壇して、「Oracle Cloud」の優位性を説明している。

 Shimp氏はシステムの展開モデルとしてプライベートクラウドとパブリッククラウド、その2つを混在させて使うハイブリッドクラウドの違いを説明している。プライベートクラウドは、企業が自ら構築するために初期コストがかかり、運用後もコストがかかる。

Robert Shimp氏
Robert Shimp氏

 だが、プライベートクラウドはユーザー企業が自ら制御できると同時に、どこで何が動いているのか可視性があると説明する。リソースが可視化されることで、ニーズに応じてリソースを振り分けるといったメリットを享受できる。

 プライベートクラウドの場合、複数のアプリケーションでITリソースを共有することになる。複数企業が共同で利用するパブリッククラウドは、アウトソースサービスを利用することであり、マルチテナントでITリソースを共有する。かかるのは運用コストだけだ。

 ハイブリッドクラウドであれば、システム処理の負荷がピークになった時に、パブリッククラウドにあるITリソースを使ってワークロードを振り分けるといった使い方が可能になる。ハイブリッドクラウドは開発環境やテスト環境として活用できるのと同時に本番環境としても活用できる。またパブリッククラウドを活用することで、ハイブリッドクラウドでは、企業間のシステムを連携することも可能だ。

 Shimp氏は、Oracle Cloudに加えて、「Exadata」や「Exalogic」といったオラクル製品があることで、オラクルは「すべてを提供できる」と同社の優位性を強調している。

 これまでのアプリケーションごとにシステムが構築されるサイロ型からクラウドに向けたロードマップとして、Shimp氏は共通基盤化とプライベートクラウドという2段階があると説明する。共通基盤化では、仮想化技術でITリソースを共通化すると同時に、CPUやメモリといったインフラ、OSやミドルウェアというプラットフォームを標準化して、動的にITリソースを振り分けることができる。

 共通基盤化を経た後でのプライベートクラウドでは、IT部門の開発者はもちろんユーザー部門が自らシステムを調達できるセルフサービス、処理の状況に応じて自動的にITリソースが変動するオートスケーリングが可能になる。同時に、ITリソースがどれだけ使われているのかを計測して、使われた分だけ課金することができる。

 ここでShimp氏は「ユーザー企業の大半はプライベートクラウドを活用している。パブリッククラウドを使っているのは小数だ。特定のワークロードを処理するためにパブリッククラウドを活用している」と現状を説明している。

 クラウドを3階層に分けるとIaaSとPaaS、そしてSaaSになる。Shimp氏はIaaSとPaaSを比較して「IaaSとPaaSはトレードオフの関係にある」という。IaaSはハードウェアや電力、データセンターの省スペース化でのコスト削減というメリットはあるとしながらも、「異なるソフトウェアスタックが混在する可能性があり、複雑性は解消されずに、高コスト体質になる恐れがある」と語っている。

 対して「標準化、共有化され柔軟に変更できるPaaSにシステムを統合すれば、ソフトウェアスタックの異種混在性と複雑性を解消でき、コストを削減できる」とメリットを強調。また標準化されているPaaSであることから、「新規のアプリケーション開発を高速化できる」とも説明している。

 こうしたことからShimp氏は「PaaSの方が望ましい」と言及している。加えて、Shimp氏はExadataやExalogic、そしてUNIXサーバ「SPARC SuperCluster」というEngineered Systemsが「システム統合やクラウド環境に最適」と説明。2011年に発表された最新の統合運用管理ツール「Oracle Enterprise Manager 12c」を活用すれば、「すべてのクラウドスタック、すべてのシステムのライフサイクルを管理できる」とメリットを強調している。

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