ヴイエムウェアは11月5日、アイ・ティ・アール(ITR)と共同で展開した「クラウド コンピューティングに関する企業意識調査」の結果を発表した。日本の企業や官公庁を対象にIT部門の意志決定者やマネージャなど1568人が回答している。
回答者の98.2%が「クラウドコンピューティングについて聞いたことがある」と回答し、クラウド関連への取り組みとして、50%の企業が導入済み、25%が現在導入準備中、具体的に計画中と回答している。
自社の事業を「全体的に成長と拡大が見込める」と回答した企業のうち68%がすでにクラウドを導入済みと回答。「部分的に成長が見込める」(52%)、「十分な成長が見込めない」(46%)と比較して、業績が好調な企業ほどクラウドを導入している割合が高い結果になったとしている。
回答者の25.7%は「クラウドは最優先事項であり、ビジネス全体に大きな効果を与える」とし、クラウドを「最優先事項」「優先事項」「重要」とする回答が全体の80%に上っている。クラウドコンピューティングがITの領域を超え、企業のビジネス戦略上の重要なテーマとなっていると説明している。業績が好調な企業ほどクラウドコンピューティングをビジネスの最優先項目と認識している割合が高く、業績が好調な企業(自社の事業について「全体的に成長と拡大が見込める」と回答した企業)では、割合が過半数(58%)を超えている。
クラウドへの取り組みでは「クラウドに取り組まなければ、競合他社に後れを取る危険がある」と認識している企業のIT担当者は全体の過半数(51%:10段階評価で7以上と回答した割合)に上っている。企業の競争力向上という観点からも、クラウドコンピューティングがビジネス戦略上の重要な要素であると認識している企業が多いと分析している。
クラウドのメリットとして、回答者の70.4%が「災害復旧(DR)の強化」と「事業継続性(BCP)の改善」と回答。これまでメリットとして挙げられることが多かった「ITコストの削減」(60%)を上回っている。今回の調査では、メリットとして新たに「多様なワークスタイルやモバイル利用へのサポートの強化」(62%)を挙げる回答が多くなっている。
全面的にクラウドを導入する場合の懸念点を10段階評価(10が最高値)で質問すると、「セキュリティ」と「データに対する所在、プライバシー、管理」の平均値が7.4ポイントと他の項目よりも高い。「クラウド上で新たなアプリーションを構築する際の懸念点」や「クラウドを可能にする場合に重要となるIT機能」でも、それぞれセキュリティに関する回答が最も高い値を記録している(それぞれ7.6ポイント、8.3ポイント)。
クラウドコンピューティングを実現するために必要なテクノロジでは、76%のIT担当者が「仮想化」と回答。回答企業の業績状況別に見た場合、業績が好調な企業(自社の事業について「全体的に成長と拡大が見込める」と回答した企業)では、10段階評価で10と回答する企業が54%となっている。
重点的に投資する可能性が高いクラウドコンピューティングの形態を見ると、「オンプレミス(自社所有型)のプライベートクラウド」と回答したIT担当者が35.2%でトップ。次いで「パブリッククラウド」(27.2%)、「ハイブリッドクラウド」(17%)の順となっている。
「パブリッククラウドで提供することがふさわしいアプリケーション」では「メール」(50.6%)や「ウェブ会議やグループウェア」(57.8%)などの情報系アプリケーションが、「プライベートクラウドで提供することがふさわしいアプリケーション」では、統合基幹業務システム(ERP)や顧客情報管理システム(CRM)などの業務アプリケーション(44.5%)が高い支持を獲得している。
その一方で、冗長性や可用性が求められるクラウドインフラ(サーバ、ストレージ、ネットワーク、DR用のIT環境)などは「ハイブリッドクラウドがふさわしい」とする回答がいずれも40%を超えている。利用者がそれぞれのクラウドの特長を見極めた上で、アプリケーションや機能、役割に応じて柔軟にクラウドの形態を使い分ける傾向が明らかになったとしている。
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