IDC Japanは11月19日、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とビジネスコンサルティングから構成される国内ビジネスサービス市場予測を発表した。2012年の市場規模は前年比4.7%増の8626億円にで、2年連続のプラス成長になる見込み。
IDCが定義するBPOサービスは、人事、カスタマーケア、財務・経理、調達・購買の4分野で構成される。2012年の国内BPOサービス市場支出額は5910億円で、前年比4.5%の成長を見込む。BPOサービスはリーマンショック後の2009年に成長率が大幅に鈍化したが、国内企業のコスト削減意識の高まりや業務プロセスの改善に向けた取り組みが需要を拡大させており、堅調に回復しているという。
IDCでは、予測期間内において4分野全てがプラス成長を続け、2011〜2016年の年間平均成長率(CAGR)は4.1%となり、2016年の市場規模は6923億円に達すると予測。特に、調達・購買や人事に含まれる福利厚生サービスなどが、相対的に高い成長率で推移するとみている。
国内のビジネスコンサルティング市場も回復傾向にある。新規事業の戦略策定などの事業拡大に向けた案件が回復傾向にあることから、2012年は前年比5.3%増の2716億円と、ほぼ横ばいであった2011年から成長軌道を回復すると予測。加えて、海外進出やグローバル最適化、経営統合およびM&A、事業継続性・災害対策の強化といった課題が、変革のためのコンサルティングへの需要に繋がっているとも分析。これを要因として、2011〜2016年のCAGRは5.0%で成長を続け、2016年には3292億円に達するとみている。
両者を合わせた国内ビジネスサービス市場は、リーマンショック後の市場成長率の低迷から徐々に回復に向かい、2011〜2016年のCAGRは4.4%で成長。2016年の支出額規模は1兆214億円と、1兆円を超えると予測している。
国内ビジネスサービス市場の支出額予測(出典:IDC Japan)
一方、国内BPOサービス市場は、給与計算や記帳代行における入力業務などの定型/単純作業型のサービスが成熟化し、低価格化により成長率が鈍化するなど、転換期を迎えつつあるとも指摘。IDC Japan ITサービス リサーチアナリストの植村卓弥氏は、「今後BPOサービス事業者は、サービスの高付加価値化のために、より全社/全グループ視点における顧客企業の業務プロセス変革に対応する必要が出てくるであろう。そのためには、ビジネスコンサルティング事業者や、異なるケイパビリティを持つ他のBPOサービス事業者と連携するなど、顧客の企業/グループ全体の視点で業務を捉え、変革を促す力を向上することが求められる」とコメントしている。