「NarwhalとOrcaの戦い」(一角クジラとシャチの戦い)などとも言われた今回の選挙。オバマ陣営は包括的なITプラットフォーム「Narwhal」を用意して臨んだが、ロムニー陣営の「Orca」は単体のウェブサービスにすぎず、本番でもうまく機能しなかった。
オバマ陣営からすると「iPadとFacebookを比較するようなナンセンス」に見えたという。
内製か、それとも外注か
Ars Technicaは、両陣営が公にした報告書からIT関連の資金使途を詳しく分析している。
How Team Obama's tech efficiency left Romney IT in dust - Ars Technica
Romney campaign got its IT from Best Buy, Staples, and friends - Ars Technica
両方の記事を比べてみると、システムの内製を選んだオバマ陣営の戦略が、外注に頼らざるを得なかったロムニー側との大きな差につながったという印象だ。このあたりについては準備にかけられた時間の違いなどもあり、単純に「内製か、外注か」という議論にはならないようにも思える。
ただし、記事の中でも次のような部分には特に注目しておきたい。
- 「オバマ陣営が使ったIT関連の金額は、ロムニー陣営よりも1450万ドルも少なかった」
- 「オバマ陣営では、内部のIT関連スタッフの給与に200万ドルを使い、そのほかに利用した(クラウドなどの)外部サービスやコンサルティングサービスへの支払いを9300万ドルに抑えた」
- 「ロムニー陣営は外注サービスへの支払いだけで2360万ドルも費やした」
- 「オバマ陣営では、スタッフ全体のなかで最もサラリーが高かったのがCIOのマイケル・スレイビーだったのに対し、ロムニー陣営ではデジタル関連の責任者だったソーシャルメディアプランナーが、技術関連の責任者の2倍以上のサラリーを得ていた」
これらの点は、両陣営の戦略の違いを物語るポイントでもあり、また今後の戦略構築に際して大きな手がかりとなる事実といえよう。
(敬称略)
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