米国に本社を置くMobilous(モビラス)は非常にユニークな会社だ。
同社 最高技術責任者(CTO)の宮田明氏は、ゴルフナビゲーションシステム「GOLVI」を手がけるデジタルボックスの代表取締役でもある。その開発を委託していたスリランカのパートナーに紹介されたのが、モビラス代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)を務めるラケシュ・シャルマ氏だ。
シャルマ氏は以前、インドの商品交換サイト「eCircle」の共同経営者だった。シャルマ氏はeCircleを2003年にRelienceへ売却。その後、デジタルコンテンツ管理ソフトを手がけるOpelinの共同経営者を務め、この会社を2007年にHPに売却した。根っからの起業家なのだ。
パートナーを通じて知り合った宮田氏とシャルマ氏は、お互いの力をすぐに認め合った。宮田氏は、「私はテクノロジーの専門家だが、ファイナンスはまったく知らない」と率直に述べた。しかし、その後にモビラスが手がける事業の構想を話すと、シャルマ氏は絶賛。さらに資金まで調達してきた。
「では、君がファイナンスをやれ。私はテクノロジーをやる」と宮田氏は言った。
二人が設立したモビラスは、今、コードを書かずにモバイルアプリを作成できるサービス「AppExe」を提供している。
各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はモビラスCTOの宮田明氏に話を聞いた。
モビラスCTOの宮田明氏
多くの開発者が同じ悩みを抱えている
--なぜ、AppExeのようなサービスを手がけようと思ったのですか
モバイルアプリ開発の現場は、一回コンパイルする度にテストして、たくさんの不具合を修正して……の繰り返し。開発者は不具合の解決方法をいつも調べているんです。しかも、皆が同じ答えを求めていると言っても良い。
そんなことばかりしていたら、本来のビジネス向上を実現できなくなります。
だったら、我々がアプリのひな形を作り、ユーザーはデータを入れるだけでアプリを開発できるようにしたらどうだろうかと考えました。
パートナーやエンドユーザーに聞くと「すぐにでもやりたい」と言ってくれます。手応えは予想以上です。
--モバイルアプリ開発者のような専門家は、必要なくなるということでしょうか
いえ、そうではありません。