インテルは12月7日、東京ミッドタウンでソフトウェア開発者を対象にした「インテル ソフトウェア・カンファレンス 2012東京」を開催した。6月の福岡での開催を皮切りに全国で開催。東京での開催が最後となる。
4回目となる東京会場でのカンファレンステーマは「究極のパフォーマンスに挑戦しよう」。米Intelでチーフ・ソフトウェア・エバンジェリストを務めるJames Reinders氏による基調講演のほか、5つのセッションが行われ、インテルのソフトウェア戦略や最新の技術動向などが説明された。
宗像義恵氏
James Reinders氏
午前10時15分からの基調講演に先立ち、インテル取締役副社長の宗像義恵氏が挨拶した。「インテルが2004年から進めてきたマルチコア化は、メニーコア化によって、さらにコア数が増え、コンピューティングの性能を飛躍的に進化させてきた」とこれまでを振り返っている。
「だが、“プログラムの並列化によるスピードアップは、プログラムのシリアル処理部分により制限される”というアムダールの法則に示されたように限界がある。インテルのプロセッサの性能を最大限に発揮するには、アプリケーションの並列化が重要である。95%が並列化したプログラムは、全体の5割を並列化したプログラムの10倍の性能が発揮できる。インテルが新たに投入する“Parallel Studio XE 2013”と“Cluster Studio XE 2013”といったソフトウェアを活用することで並列化処理が簡単にでき、メニーコアに対応できる」(宗像氏)
基調講演「ハイパフォーマンス: より簡単に活用するためのインテルの取り組み」に立ったReinders氏は冒頭、補助処理装置(コプロセッサ)の「Xeon Phi」について触れている。
「Xeon Phiは、高度な並列ワークロードに対応し、優れた電力効率を実現し、高度なプログラムが可能となっている。そして、ソフトウェアと専門知識への投資を保護する高い互換性を持っている。2012年11月には、世界で最も電力効率に優れたシステムにXeon Phiが採用されている。ここで重要なのは、XeonブランドのプロセッサとXeon Phiブランドのプロセッサが同じプログラミング言語、同じプログラミングモデル、同じプログラミングツールで並列処理が可能になり、パフォーマンスを高め、電力効率を高めることができるということだ」(Reinders氏)
Reinders氏は、Fortranで簡単なプログラムを書き、それを6コアのXeonプロセッサ(コードネーム「Westmere」)で実行させたところ、約67秒だったのに対して、並列処理で活用される標準化基盤「OpenMP」の並列宣言子とベクトル化のコンパイラオプションを使用し、Xeon Phiで実行させた場合、0.197秒と340倍もの驚異的なスヒードアップを実現したと説明している。
「これは、比較対象となるXeonで最適化するといったことが行われていない条件で比較したもの。最適化して実行させてみると、0.460秒となった。本来はこの数字と比較すべきであり、これで比較すると、実質的には2.3倍の高速化となった。大きな数字を語ることはできるが、それは真実味が低いものであり、同じ条件で並列化したソースコードを比較した方が現実的だ。Intelはこの数字を使用する」
続けてReinders氏は「高度な並列デバイスには高度な並列プログラムが必要である。だが、必要以上にプログラミングを難しくしないことも大切である。インテルは、ここに力を注いでおり、Xeon Phiの特徴を生かすことができる」と強調。そのためにインテルが投入したツールが、Parallel Studio XE 2013とCluster Studio XE 2013であると位置付けている。