Appleはそこまで大胆な行動に出るだろうか?
こういった行動に出るには、いくつかの条件が満足されなければならない。
「Mac Pro」あるいはその後継機種の製品計画:Appleは2010年以来、Mac Proのメジャーアップグレードを行っていない。これは多くの企業ユーザーを不安にさせる一因となっている。その一例として、従来のPCIカードやFireWireよりも高速なデータ転送を可能にする「Thunderbolt」という機能が、Mac Proではいまだに使用できないという点を挙げることができる。同機能は、iMacのような汎用のコンシューマー機器では新機種の発売に伴い使用可能になってきている。しかし、iMacにはクアッドコアという制限があるため、データセンターの拡張性要求に対してMac Proほどには応えられない。このため、Mac Proのアップグレードや刷新が行われない限り、クラウド分野や企業向けデータセンター分野におけるAppleの成功は難しいだろう。
クラウド提供企業を含む企業のCIOの関心を引くこと:Appleは厳格な秘密主義を貫いている。知的財産保護の重要性についてはIT部門のリーダーも十分に理解しているだろうが、Apple製品を用いた戦略的なIT計画を企業側で少なくとも立案できるよう、十分な関与と情報の共有を行うべきだろう(もちろん、Appleが基本的に機器の販売者という枠を越える気がないのであれば、この議論はあまり重要ではなくなる)。
業界標準となっているAPIすべてとのインターフェースを保証すること:クラウドや企業ITのインフラを管理するために用いられる仮想コンピューティング管理ソフトウェアが提供する機能と、AppleのOS(およびそのリソース管理)との間をシームレスにつなぐためのインターフェースが保証されなければならない。
Appleが企業市場に向けて全速力で進んでいくかどうかについては、今後を見守る必要がある。もし企業市場に向かうのであれば、今まで功を奏してきたコンシューマー中心の成功方程式との決別につながるはずだ。経験豊富な幹部の目にはそれ自体、成功している戦略に背を向けるというリスクに映るだろう。しかし、高品質なソフトウェアと人間工学に優れた製品というAppleが今までに培ってきたものに目を向けた場合、企業市場はまだまだ開拓の余地があり、可能性が潜んでいるという点は無視し難いはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。