IDC Japanは12月13日、国内IT市場で2013年に起きると想定される重要な事象を10項目をまとめた「2013年 国内IT市場の主要10項目」を発表した。
2013年の国内IT市場は、0.5%増の13兆6000億円。なかでもスマートモバイルデバイス(SMD)が市場を牽引し、前年比10%増の成長が見込まれ、IT市場全体の14%を占めるという。通信も含めた国内ICT市場は1.5%増の25兆円になり、移動体データ通信サービスは、9%増になるとした。発表した主要10項目は以下の通り。
- 国内ICT市場は緩やかに成長し、第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへのシフトが水面下で加速する
- 第3のプラットフォームを活用した業種特化型ソリューションが拡大する
- スマートモバイルデバイスユーザーの増加がマルチデバイス、アクセスプラン競争、法人利用を加速する
- BYODの法人利用でセキュリティ脅威が顕在化し、対策が求められる
- 国内クラウド市場におけるベンダー間の戦いは静かに熱いものとなる
- 2013年はSDN市場元年となり、OpenFlowの波がエコシステムを形成していく
- コンバージドシステムを巡る競争がサーバベンダーの生き残りを左右する
- 第2のプラットフォームベンダーによるビッグデータビジネスは苦戦し、IT企業と非IT企業の合従連衡が加速する
- 企業向けソーシャル技術の活用ターゲットが明確となり、競争が始まる
- オフィス向けIT市場でITベンダーとHCPベンダー間の主導権争いが始まる
同社が“第3のプラットフォーム”と定義するモビリティ、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術は、前年比13%増の6兆6600億円。そのうちクラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術に関しては、それぞれ前年比40%増以上の成長が見込まれる。ビッグデータの2013年の市場規模は、前年比42%増の279億円となり、IT市場全体の0.1%にとどまる。
その一方で、クライアント/サーバ(C/S)技術を活用した第2のプラットフォーム全体では2%減の18兆5000億円となる。PC市場は前年比9%減になるという。
中村智明氏
IDC Japanの中村智明リサーチバイスプレジデントは、「第3のプラットフォームの時代のスタート時期については、毎年見直しを行っており、前回までは2008年としていたが、いまは2005年としている。ちょうどAmazonがスタートした時期である。この第3のプラットフォームの時代は、2020年まで続くことになる」と前置きして、以下のように説明している。
「表面上は緩やかに市場が拡大しているが、水面下では劇的な変化が起こっている。それが第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへと移行である。特にSMDの増加が市場を牽引しており、これを除くと市場全体ではマイナス1%の減少になる。PCとSMDの世代交代が始まっている」
SMDは、2016年には300億円以上の市場規模に拡大。2013年のスマートフォンの国内出荷台数は3260万台となり、ほぼ2人に1人がスマートフォンを利用すること、スマートフォンに続きタブレットがPCの出荷台数を追い越すことなどを示した。
「マルチデバイス化が進展し、タブレットが急激に伸びる。2013年第4四半期には、タブレットの出荷台数が199万台になるのに対して、家庭向けポータブルPCの出荷台数は166万台になり、逆転することになる」(中村氏)