2013年--「携行デバイス」繁栄の年へ - (page 2)

Simon Bisson (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-12-28 07:30

コンテンツを消費するためだけのものではない

 タブレットはしばしばコンテンツを消費するためのデバイスとして位置付けられる(そしてマーケティングされている)ものの、こういったデバイス(また、さらに小型化したスマートフォン)にできることは他にも数多くある。「Microsoft Excel」の巨大なスプレッドシートは作成できないものの、できたものをチェックすることはできる。また、本格的な長編小説は書き上げられないものの、ドキュメントの校正やコメントの付加を行うことはできる。つまり、携行デバイスは地下鉄の車内で無料の電子新聞を読むためだけでなく、生産性の向上につなげるためにも使えるわけだ。会社側も、従業員がこういったデバイスを使い、従来であれば勤務時間外であった時間に電子メールの返信や、ドキュメントのレビューを行うようになってきていると気付き始めているのは、驚くほどの話ではないだろう。また、デバイスの画面がより大きければ、より複雑な作業であっても迅速に行えるようになる。

 従来であればコンピュータが必要であった作業をどこからでも行えるという能力は、IT部門の役割を大きく変革する。つまりこれによって、BYODポリシーを管理する必要性だけでなく、新たなフォームファクタと新たな作業方法の双方に適したアプリケーションやサービスを展開するとともに、より複雑な情報管理手続きとセキュリティ手続きを導入する必要性も出てくるということを意味している。

 これはAnderson氏による予想が持つもう1つの側面である。つまり、主流となるフォームファクタが変わることで、本質的な変化が引き起こされるのだ。Microsoftの「Windows Store」アプリと同社のSurfaceタブレットで採用されている「Windows Runtime(WinRT)」という開発モデルが、クラウドサービスと連携動作するスマートな非同期アプリケーション(エンドツーエンドのセキュリティを確保するための認証を容易にするAPIが用いられる)の実現に注力しているのは偶然ではない。

 あなたが社内システムを開発しているのであれば、サービスの対象となる新たなエンドポイントを検討するとともに、そのサービスを該当デバイスに提供するうえで必要となるツールやアプローチのことも考えなければならない。これにはスマートクライアントを使用するのだろうか、それともブラウザに全幅の信頼を置いてHTML5を採用するのだろうか?これは複雑なジレンマを引き起こすとともに、ビジネスソリューションの提供方法に大きな影響を及ぼすことにもなるはずだ。

 画面の小型化と高解像度化という流れからの影響も忘れてはならない。サブピクセルを描画するさまざまなアプローチ(Microsoftは「ClearType」という描画手法を採用し、Appleは「Retina Display」上で複数のピクセルを用いる手法を採用している)によって、テキストの表示がよりクリアになったため、携行デバイスを使って、いつでもどこでも容易にドキュメントの閲覧やコンテンツの編集ができるようになった。Appleの「iPad mini」やGoogleのNexus 7が成功したことで、7インチや8インチのディスプレイを受け入れるエンドユーザーの存在が実証されたため、Windows 8の新たなアップデートやSurfaceの次世代機で7インチの画面がサポートされるというのも、あながちうわさとは言えないかもしれない。

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