2013年の展望

ひたすら製品と向き合うのが真のプロ--MS西脇氏に聞く2013年の展望

三浦優子 怒賀新也 (編集部)

2013-01-02 09:00

 日本マイクロソフトが自社イベントなどで実施するプレゼンテーションが面白い。例えば、2012年4月に開催された「Windows Developer Days」の2日目では、3Dのクラウディア窓辺の踊る映像が公開された。一見すると、賑やかしのお祭り的プレゼンとも思えたが、実はこれはWindows 8のリッチなユーザーインターフェイスとクラウドの連携という、Windows 8の特性と可能性を開発者に向けて呼びかける内容であることが明かされる。インパクトと会場で訴えたいことが合致したプレゼンとなっているのだ。

 9月に行われた「The Microsoft Conference 2012」のキーノートでは、Kinectを使ったバーチャルショッピングのデモが行われた。店頭で顧客がどんな動きをしているのかを記録することで、販売データにはあらわれない「購買前の顧客の行動」をビッグデータとして、Excelを使って分析する。マイクロソフトのテクノロジーを全方位で利用しながら、最近のトレンドを織り込み、IT活用による新しい価値を創造するプレゼン内容だった。

日本マイクロソフトのテクニカルソリューションエバンジェリストの西脇資哲氏
日本マイクロソフトのテクニカルソリューションエバンジェリストの西脇資哲氏

 これらのプレゼンテーションを行ったのは日本マイクロソフトのテクニカルソリューションエバンジェリストの西脇資哲氏だ。この2つ以外の場面でも、西脇氏のプレゼンテーションは面白い。製品や技術を的確に紹介しながら、見ている人を飽きさせない内容となっている。

 Windows 8は「リイマジン」=再創造を標榜して登場したが、西脇氏のプレゼンテーションは従来とは異なる、まさにリイマジンプレゼンテーションだ。西脇氏のプレゼンテーション力はどのように生まれているのか。


Enterprise向けでも「クールでセクシーなプレゼン」が必要に

 「プレゼンテーションが面白くなったと感じて頂いたとしたら、それはプロダクトアウトの世界から変わっている影響でしょう」

 西脇資哲氏はこう断言する。

 「タブレットは単体でも格好良いですが、クラウドにつながることでドキュメントを表示して見ることもできるし、動画を表示することもできるようになります。タブレットだけでは完結しません。昔はハイブリッドと言いましたが、ハイブリッドは2つ。今はシームレスです。ネットワークとクラウドにつながることで、知らない間に、流れるように、自然に無数のものとの連携が実現する。プロダクト単体では完結しない世界になっているのです」

 プロダクトが単体で完結するものでなくなったことを受け、プレゼンテーションの内容にも変化があってしかるべき、というのが西脇氏の考え方だ。

 「モノがいかに優れているのかを言えば十分だった時代ではなくなったのです。プロダクトの範囲を超え、人々に、社会に、経営にどのくらいの影響を与えるものなのかを伝えなければなりません。それを押し売りするのではなく、プレゼンテーションを聞いた人がワクワクするように“クール”で“セクシー”に伝えるべき時代になっているのです」

 コンシューマー向け製品やサービスであればともかく、サーバなどの企業向け製品にもクールでセクシーに伝えることは可能なのだろうか。そう疑問を投げ掛けると、西脇氏はニッコリと笑った。

 「サーバでもできますよ。カタログや仕様書をじっと見ているだけでなく、製品を徹底的に自分で使ってみることです。さらに、色々な現場の話を聞き、製品と色々なアイデアを結びつけていくのです。徹底的に製品と向き合い、驚きを与える見せ方、人とは違う見せ方を徹底的に追求すれば、サーバ製品でもクールで、セクシーな見せ方ができますよ」

基本は題材となっている製品を知っていること

 プレゼンを成功させる上で、何よりも重要なのは「製品を知る」ことだと西脇氏は話す。二十代だった頃の西脇氏は、それを思い知らされる経験をした。

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