2013年の展望

ひたすら製品と向き合うのが真のプロ--MS西脇氏に聞く2013年の展望 - (page 2)

三浦優子 怒賀新也 (編集部) 2013年01月02日 09時00分

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 「数千万円規模の商談で九州にある銀行に行った時のことです。決済のための社長との面談の席で最初に言われたのが“うちの銀行の口座もっている?”という一言でした。その銀行の店舗も、従業員の顔を見たこともないのに数千万円の商談に来たのか? という厳しい言葉でした。その指摘通り、その時の私はその銀行の店舗に入ったことすらありませんでした。言われてみたらその通り。返す言葉を失いました」

 この経験から、西脇氏は自分で関わる製品は「自分の手で使う」ことを基本としている。しかも、自分の手で使う製品は自分で購入するのがポリシー。これはマイクロソフト製品も同様だ。

 「Windows 8も自分でパッケージを購入しました。だから、パッケージに使われている紙が前とは違う!といったことまで実感できるんですよ。身銭を切って使い倒さないと駄目なんです。自分で買った製品は、『元を取るまで使い倒そう!』と思うはずです。もちろん、買ったけれどはずれだったという製品もあります。それでも自分で買った製品ですから、使い続けるうちに悪いところも含めてその製品が好きになっていきます」

 マイクロソフトの製品には、Windows 8のように個人で使いやすいものばかりではなく、企業で利用する製品も存在する。

 「私は元々エンジニアでしたから、エンタープライズシステムを使う素地がある。これはこうなるかな? といじってみると、ほぼその通りに動きます。システム製品でも同様に徹底的に使い込みます。システム製品は特に、ファンクションの説明ではなく、その機能を使ってどんなことができるのかをシンボリックにアピールすることが必要なんです」

 西脇氏のこの方法論は、対外的にプレゼンテーションをしている人だけでなく、例えばIT部門の担当者が新システムを社内にアピールする場面にも有効ではないか。もっとも、「どんなことができるのか」を伝えることは、実は容易なことではない。逆にいえば、これをきちんと伝えることで、専門家以外にはわかりにくいといわれる情報システムに対する周囲の理解が変わることもある。

 それを実現するための投資は惜しまない。西脇氏の机の周りには、60万円したというサーバまで置いてある。もちろん、これも自分で購入した製品だ。

 「こう言うと、それはマイクロソフトで高い給料をもらっているからできるんでしょ、と言われてしまうことがあるんですが、こういうこと、それほどお給料をもらっていない頃からやっていましたから。投資して元をとろうと頑張れば、着実にそれが返ってきますから」

 ここまで製品と真摯に向き合えば、社内の開発者やプロダクトの担当者も協力してくれるようになる。「何ができるのか」をきちんと伝えることができれば、その製品と連携する製品を提供する他の部署も協力してくれるようになるという。

SNSを通してプレゼンを聞いた人同士がやりとり

 日本マイクロソフトのエバンジェリストとして全国を飛び回り、プレゼンテーションを行うベースとして、ブログ、Twitter、Facebookなどは積極的に利用してきたそうだが、最近は発信方法の見直しを行ったそうだ。

 「西脇という名前を知って頂くようになってからは、あまりこちらから情報発信を行うと逆に飽きられてしまうと考えています。Facebookに関しては写真をアップロードするだけで“イイネ!”が100件超えるようになりました。フォロワーの数が日本マイクロソフトのどのアカウントよりも多くなり、その時点で自分自身で情報発信するのは休止するようになりました」

 自分での情報発信はストップしているものの、Facebookの西脇氏のウォールでは面白い現象が起こっている。西脇氏のプレゼンテーションを聞いた人、その場の主催者、関係者などが撮った西脇氏の写真をアップロードするようになったのだ。それを見て、他の人がコメントをつけるなど、西脇氏のウォールが交流の場として使われるようになったのだという。

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