記事をまとめたのはロジャー・チェンというベテラン編集者で、11月にヘルシンキなどを一週間かけて取材したらしい。ノキアのほかに、ロビオやジョラ(Jolla、元ノキア社員が立ち上げた会社でMeeGoをベースにした「Sailfish」というモバイルOSを開発中)などにも足を運んだようだ。
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- Nokia's defunct MeeGo finds new life as Sailfish
このビデオの途中から出てくる(英語字幕入りの)説明にもあるとおり、フィンランド社会ではこの数年の間に、とくに若い人の仕事(就職)に対する価値観が大きく変わったという。
以前ならノキアのような巨大企業で安定した仕事に就くのが「成功の証」とされていた。全盛期のノキアは、2000年にフィンランドのGDPの4%を占めていたともいわれる。日本に置き換えて考えれば、GDPの4%は16兆〜20兆円ほどの売上だ。そうした労働観のなかにあって、起業はほかに手立てのない人が取る「最後の手段」と見なされていた。
ところが、そのノキアが没落する。
同社で大幅な人員削減があり、人々は安定した勤め口などもはや存在しないことに気付かされた。
本題から少しそれるが、少しだけノキアの苦境を説明しておきたい。Windows Phone OSに乗り換えて起死回生を図るノキアだが、いまだに底を打ったとはいえない経営状況にある。また、マイクロソフトとの関係もいまだに「あうんの呼吸」とはいえないようだ。その一例として最近よく挙げられるのは、今年のクリスマス商戦の一押しモデルとしてマイクロソフトがプッシュしたのは、ノキアの「Lumia」ではなく、HTCの「Windows Phone X」だったのだ。
そんなノキアの没落について、先のCNETの記事では、たとえば「過去5年間で従業員の17%をカット。残り4万4000人以上の従業員についても、さらに1万人を来年末までに解雇する予定」などと書かれている。
話を戻そう。若者の労働観が大きく変わったという話だった。