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世論調査の限界を超えろ--オバマ陣営のデータ戦略は「有権者を一人ずつ数える」 - (page 2)

三国大洋

2012-12-31 17:00


 マイケル・スレイビー(オバマ陣営のChief Integration and Innovation Officer)やハーパー・リード(同CTO)など、その後に他のメディアで大きく取り上げられることになった人物の名前が出ている。また、この記事ではロムニー陣営でマイクロターゲティングに携わったアレックス・ゲイジという人物のコメントも紹介されている。2004年のジョージ・ブッシュ再選に貢献し、現在はターゲット・ポイント・コンサルティングという企業のCEOを務めるゲイジは、今回の大統領選挙でみられた「データをめぐる軍拡競争」について、「現時点では明らかに民主党がリードしている。共和党側でもキャッチアップの必要は認識しており、いずれはできるようになると考えている。ただし、それを越えて(共和党側が)リードできるようになれるかといえば、ノー」などと述べている。

 マイクロターゲティングについては、ひとつの例として、次のような話も書かれている。

 「(有権者)個々人の関心にあわせたメッセージを伝えることで、選挙運動のボランティア参加、献金、投票など、想定した目標を達成」しようとするこのアプローチでは、たとえばボランティアの運動員に「オバマに投票するつもり」と伝えた有権者には、その数日後に献金を請うメールが送られてくる(もしくは電話がかかってくる)。ただし、この有権者の隣人(失業中)に対しては、献金のことは一切持ち出さず、代わりにオバマが「失業者の味方」であることを確信させるようなメッセージを伝える……といったものだそうだ。

はじめから「個人」をターゲットにしていたオバマ陣営

 こうした強さを生み出したオバマ陣営の、とくにデータ分析関連の取り組みについて焦点をあてているのがTechnology Reviewの特集記事。3回に分けて公開された「A More Perfect Union」というこのシリーズだ。

 その第一回目の「主役」となっているのが、ダン・ワグナーというデータサイエンティスト(肩書きは「Chief Analytics Officer」)と、彼が率いたアナリストチームの取り組みである。

 ワグナーは、シカゴ大学経済学部卒という、いかにも数字に強そうな学校を出た後、社会に出て比較的間もない頃にオバマの選挙戦(2008年の選挙)にボランティアとして参加。ここで着実に成果を挙げた後、2009年初めには民主党全国委員会(DNC)から「ターゲティング担当責任者」として雇われた人物だという。

 ワグナーの評判が高まったのは、2009年に行われたニューヨーク州(北部)での連邦下院議員を選ぶ補欠選挙。この時、ワグナーは投票日よりかなり前の段階で民主党候補の勝利を予測(しかもこの予想の誤差が150票ほどだったことも開票後に判明)した。また、その数カ月後に実施されたマサチューセッツ州の上院議員補欠選挙——テッド・ケネディーの死去によりできた空席を埋めるための選挙では、ケネディ家の地元ということもあり代々民主党が強いこの選挙区で、スコット・ブラウンという共和党候補が勝つとするワグナーの予測が的中したことから、DNC関係者はワグナーの予測——Survey Managerという分析システムを自分で開発したとある——に、いやでも注目せざるを得なくなったらしい。

 さらに、このワグナーの予想の正確さが、民主党が大敗を喫した2010年中間選挙でもふたたび証明された。74の選挙区を対象にした予測(それぞれの勝敗ならびに投票数)と、実際の開票結果との乖離は、平均で2.5%ということで、それを機に「ワグナーの言葉は、DNCのなかでゴールド・スタンダードになった」などとするオバマ選対幹部のコメントも見られる。

 今回の選挙についても、同様の高い精度をもつ予測が出されていたようで、Technology Reviewの記事には「予測:57.68%、実際の結果:57.16%」というキャッチが踊っている。これはオハイオ州ハミルトン郡の不在者投票をした有権者のうち、何パーセントがオバマに投票するか、そして実際に投票したかを比べた数字だそうだ。

 このかなり正確な予測を生み出したのがワグナーのデータ解析だ。

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