IIJ鈴木社長が年頭挨拶で示した見解
一方、ICTベンダーのトップによる2013年の年頭挨拶からも、ぜひ取り上げておきたい見解があったので以下に記しておく。インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長の発言である。
「国家の枠組みや戦略から日々の暮らしまで、すべての仕組みを変えてしまうのがインターネットであると、20年も訴え続けているのだが、わが国の場合、未だにそこまでの視野で、インターネットという技術革新が語られることは少ない」
「米国では、すでに産業の主役がICTになっているのだが、日本ではICTが将来の産業のエンジンとなり、主役となる技術革新であるという認識がなされていない。その間に、ICT産業のほとんどの領域で、その仕組みは米国発になっているのが現状である」
「インターネットという技術革新は、大航海時代の到来によって、地球が物理的、経済的なグローバリゼーションをもたらし、500年を超す時間軸の上で現在の世界をつくってきたのだが、インターネットは情報通信の革新によって、新たな世界のグローバリゼーションを進展させ、まったく違った世界の歴史をつくり始めているのである」
IIJの鈴木幸一社長(2011年10月の会見)
日本でインターネットの宣教師役を果たしてきた鈴木氏ならではの発言で、僭越ながら筆者も全く同感である。例えば、先に紹介したクラウド、モバイル、ソーシャル、インフォメーションといった最新のICTトレンドもインターネットを基盤とした動きであることから、鈴木氏の指摘はそうしたものをすべて包含しているといっていい。
ちなみに鈴木氏は上記の持論に続けて、「わが国のインターネットの歴史において、過去20年にわたり、技術面でイニシアティブをとり続けてきたIIJは、将来に向けて、グローバルな意味で、イニシアティブをとり続けられる存在となるよう、努力を続ける所存です」としている。
筆者の見るところ、鈴木氏と同様の認識と強い危機感を持つキーパーソンは少なくないはずだ。2013年はそんな勇者たちに大いに発言してもらい、有言実行に結びつけてもらいたい。
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