Baxter擁するRethink Roboticsは、Amazon創業者で社長・CEO・会長を務めるジェフ・ベゾスの個人的な投資会社 Bezos Expeditionsからも出資を受けている
また、Baxterにはまわりの状況を把握するセンサーが搭載されていて、人間やほかのロボットなどとぶつかった際にも、それを認識できる。しかも、人間の「顔」に相当するモニターには目の向き=視線が表示されており、人間はBaxterがどちらに注意を払っているかも把握できる。つまり、安全対策の観点から特別な場所に隔離されていた従来の産業用ロボットとは異なり、Baxtertと人間が一緒に働くことが可能になる、ということらしい。
上掲のビデオからも伝わってくるように、今のところBaxterにできる作業は箱詰めのような単純作業に限られる。開発者のブルックスは、こうしたロボットの普及は少しずつボディーブローのように効いてくることになると述べている。少し長いが彼の考えを引用してみよう。
「製造という言葉を聞くと、今は中国で行われている仕事と私たちは思うようになっている。だが、ロボットの普及によって製造コストが下がっていくと、モノづくりに関わるコスト全体のなかで運賃の占める割合が今よりもはるかに大きくなる。そうなってくると(ユーザーの)近くで作るほうが安上がりに済むようになるだろう。つまり、いずれはローカルな工場のネットワークができ、たいていの品物が消費地から5マイル以内の場所で作られるような状況になるだろう」
なお、ケリーと連れだってマクドナルドに出向いたブルックスは、この類の仕事をロボットがこなすようになるにはあと30年くらいかかる、との考えを述べている。
ロボットに取って代わられる仕事
ケリーのエッセイではこの後、「では一体どんな仕事がロボットに取って代わられずに済むか?」という事柄についての長い論考が続く。
「今世紀の終わりまでに、現在存在する仕事の7割がロボットに取って代わられる」
「かつて米国では、実際にそういうことが起こった。19世紀に大半の人々が従事していた農業の仕事がなくなり、いまでは農業従事者の割合は就労人口全体の1%に過ぎない」
「農場での仕事がなくなった人は、それでも多種多様な新しい仕事を作りだし、今でも(相変わらず)多くの人が働いている」