2013年の展望

グーグルやインテルの未来にLTEから自動運転車まで--2013年のテクノロジ10の予想 - (page 3)

Mary Branscombe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2013-01-10 07:45

8.エンタープライズITを提供する企業は、収益を上げるのに苦労する

 企業経営者の購入判断は、現金保有高、アジアでの競争の激化、顧客の業績悪化などの問題にとらわれている。「ビッグデータ」がマーケティングの流行になっているが、この市場のベンダーは、顧客が一般にこの分野での支出増に消極的であることに気づくだろう。セキュリティの分野を除けば、2013年も守勢の年になる見込みで、企業での「Windows 8」導入はあまり進まず、ほかにも話題はない。ねじはすでに締め付けられている。

 コメント これについても、Microsoftを過小評価すべきでない。1つには、「Windows Server 2012」は企業にとって大きなメリットがある。もう1つに、もし携行デバイス市場がAnderson氏が言うほど大きくなるとすれば、「Office」を使える唯一のタブレットとして、Surfaceがそれなりのシェアを取れるはずだということもある。また、IT部門は自社のユーザーはWindows 8の新しいインターフェースには対応できないと言うが、そのユーザーは自分が仕事で使いたいデバイスを持ち込んでいる。非公式なWindows 8の導入は、物怖じする公式な導入プロジェクトよりも速いペースで進む可能性がある。ただし、2013年は企業がとうとう「XP」に引導を渡さなければならない年だということも忘れてはならない。

9.「ハクティビスト」の活動が、政治の透明性に対して重要かつ恒久的な役割を果たすようになる

 ハクティビズムは厄介ごとというレベルから、国際的な政治とセキュリティの世界で、重要で長期的な役割を果たすものになる。その構成員から真実を隠したいと思っている国家やリーダーたちは、その選択肢をあきらめざるをえなくなり、渋々進める開かれた政府の新たな時代への道を切り開くだろう。

 コメント 大衆主義の政治的動きは重要だが、Anonymousのメンバーの多くがセキュリティサービスによって捕まったり、落ちぶれて障害者向けサイトのような罪のないサイトを楽しみのためにハッキングしたりしていることを考えると、ハクティビズムは玉石混交だと言わざるを得ない。

10.サプライチェーンの安全性が、グローバルな技術の購入に関して大きな要素になる

 Huawei(ファーウェイ)製品の高いセキュリティリスクから始まり、国の発明という観点からの不安が大きくなっており、短期的な価格の優位性よりもインフラの安全性を優先できるだけの財力がある国では、ベンダーの市場シェアに影響が出ている。現在のサプライチェーンのほぼすべてが危険にさらされているという認識は、工場の再配置と、オンショア部品メーカーへの新しいビジネスチャンスにつながる。

 コメント これは、Appleがアメリカに雇用を移すという話ではなく、Foxconnが工場を建てるという話だ。それも、おそらく高度に自動化されたものを。ただし、オンショアリングは、米国の大統領選で取り上げられたような政治的な駒以上のものであり、厄介な政治的難問だ。中国のGDPの伸びが鈍っていることと、中国の国内市場に対して外国企業が決して平等なアクセスを得られないことを併せて考えると、中国での製造は、新市場への投資というよりは、製造コストの問題だ。そしてこれには、知的財産がどれだけ安全かという疑問と、そういった懸念にどう対処するかという問題を引き起こす。

 元MI6長官のRichard Dearlove卿は、Mark Anderson氏と同氏の予想について話しているとき、「中国にビジネスで訪問する人は、手の込んだ対策をしない限り、持って行くデバイスはセキュリティ侵害を受け、持って行った資料はすべてアクセスされ、それに経済的価値があれば悪用されると仮定すべきだ」と述べている。その会話に参加していたSymantecの人間は、同社が関わったファーウェイとのジョイントベンチャーについての話をし(同社は利益を上げた上で手を引いた)、注意深く「問題は、われわれの知的財産のうち、どれだけがもうわれわれのものでないかだ」と述べた。こういったことは、企業の追い詰められているIT予算にどれだけの影響を与えるだろうか。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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