楽天とグリーが取り組む「顧客の体験価値」の向上 - (page 2)

齋藤公二 (インサイト)

2013-01-11 17:55

 グリーの取り組みについては、同社執行役員 事業推進本部長の相川真太郎氏が「モバイル/ソーシャルゲームにおけるカスタマーエクスペリエンス」と題して講演。グリーが顧客満足(CS)のために取り組んでいる施策やその特徴、RightNow活用のメリットと導入効果などを説明した。

 ご存知のようにグリーは、2004年に会社設立後、SNSとソーシャルゲームを軸に急成長を遂げた企業だ。特に2007年5月から開始したモバイルソーシャルゲームを起爆剤として、2010年には東証一部上場、2012年6月期の売上高は1582億円に達するほど躍進した。同社のCSの特徴としては、同社がBtoCとBtoBの領域でビジネスを展開していることから、大きく3つの分野に分けられる点にある。

 具体的には、BtoCの分野においては、グリーが開発するサービスの利用者向けのCSと、ソーシャルアプリケーションプロバイダーの利用者向けのCSがある。BtoBの分野ではソーシャルアプリケーションプロバイダー向けのCSだ。ソーシャルアプリケーションプロバイダーは、グリーが提供するプラットフォームにソーシャルゲームを提供する事業者。これら3つの分野を合わせると、問い合わせ件数は月に約30万件に達するという。

相川真太郎氏
相川真太郎氏

 「CSについても、モバイルによる利用が圧倒的に多く、モバイルにも対応できるカスタマーサポートが必要だった。また、お客様に楽しんでいただくにはスピーディーなサービスリリースと改善が必要で、その体制を構築する必要もある。さらには、ユーザーの個人情報を保護するといった高度なセキュリティ機能も欠かせない」(相川氏)

 実際、同社への問い合わせの9割近くはモバイルからであり、リリースについても新機能の開発やリリースは1週間で行なっている。具体的なCSの要件としては、サービスの規模拡大への対応、24時間対応、セキュリティリスクへの対応、操作性の高さなどが求められ、これらに合うものとして選定されたのがRightNow CXだったという。2010年6月にWeb機能(FAQサイト)から導入をスタートし、以降、ビジネスの拡大に合わせて適用領域を拡大。2010年11月にデベロッパーサポート領域に拡張して、2012年5月にはグローバルツールとして導入した。

 「導入の効果としては、お客様の自己解決率が約10%向上したこと、お問い合わせ件数が約35%減少したこと、お問い合わせ対応のコストが約20%削減されたことが挙げられる。RightNow導入のメリットを出しながら、カスタマーサポートレベルを向上させることができた」(相川氏)

 特に、ユーザーの自己解決率を高めることは、サービス拡大にも対応しつつ、問い合わせの対応コストを継続的に削減する効果があるという。リリースを繰り返すことでユーザーが自分で問題を解決してくれるようになり、リリースのたびに問い合わせのコストが増加するといったことがなくなるのだ。

 今後に向けた取り組みとしては、14言語への対応、チャットやフォーラムの利用といったマルチチャネル化、顧客向けサーベイ実施(VOCの活用)を挙げた。多言語化、マルチチャネル化により、顧客のサポートという守りの側面だけでなく、ビジネスチャンスの拡大という攻めの側面を強化していく方針だ。

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