楽天ブックスや楽天koboへと横展開
楽天は共通IDを使って事業観シナジーを生み出しているという
楽天では、このシステムを楽天市場や楽天トラベルで検証したのち、2008年5月から他事業にも展開させてきた。現在は、ブックス、GORA、kobo、スーパーWiFiといった約30事業で利用されている。
楽天のビジネスの大きな特徴は、それぞれの事業を共通のIDで利用できるようにし、事業間でシナジーを生み出しやすい構造を作っていることにあるが、CSの取り組みにおいても、KPIを共通化するなどして事業間でのシナジーを生み出しているという。
「共通KPIとしては、1日あたりの問い合わせ件数、MPH(1時間あたりの対応メール数)、初回解決率、時間内対応率、自己解決率などがあります。サービスの導入効果としては、グループ全体で1日あたりの問い合わせ件数が約40%減、お問い合わせ1件あたりの対応コストが約35%減、お客様対応の生産性が1.7〜2倍といった結果になっています」(同氏)
KPIは日時で集計され、各事業のコンタクトセンターに通知され、コンタクトセンターの管理部門が週ごとに集計するなどして、センター管理に役立てている。
開沼氏によると、そもそものサービス導入の経緯はコスト削減にあったため、オペレーターの業務効率や生産性の向上に関するKPIが重視されてきた。だが、オペレーターの業務効率が向上し、初回解決率や自己解決率などが向上すれば、問い合わせがすぐに解決することなどにより、顧客満足度の向上にもつながる。そのため、2009年頃からはコスト削減から顧客満足の維持向上に目的をシフトさせてきたという。
特におもてなしプロジェクトが開始されてからは、顧客満足にフォーカスした取り組みを推進している。具体的には、NPS(ネットプロモータースコア)を導入して、顧客満足度の調査結果と収益との関連性を把握したり、顧客満足度の向上と売上の関係性の可視化に取り組んだりといったことだ。