Salesforce.comの強みは、最先端というよりは、企業をクラウド、モバイル、ソーシャルにつなぐ構造の改革にある。「Chatter」「Site.com」、そして流動的なAPIによる同社プラットフォーム全体の継続的な開発によって、この役割における同社のリードはますます強固なものとなり、同社は2013年にも引き続き成長していくだろう。
その他のCRMベンダー。Salesforce.comに挑む勇気を持った企業は、遠いところからそれに挑戦している。これは、文字通りの意味だ。Salesboomの本社はカナダであり、Zohoはインドで運営されており、Really Simple SystemsやWorkbooksなどのより小さなライバル企業は、英国の企業だ。その多くは中小企業市場をターゲットにしており、比較的シンプルな点を売りにしている。エンタープライズ市場のライバル企業は、SugarCRM、Oracle CRM、Microsoft Dynamics CRMなど、社内向け、あるいはハイブリッドのサービスであり、クラウドサービスだけを対象としたこの記事の範囲を超えている。SAPの「Sales OnDemand」は、完全なマルチテナントサービスという触れ込みに値するものだが、その大胆なUIにも関わらず、これまでのところSAPの既存顧客の間でさえあまり人気がない。
Oracle。Oracleのサービスの戦略的位置づけと、特にマーケティング自動化ソフトを提供するEloquaの買収に関しては、やはり触れておくべきだろう。Eloquaは純粋なマルチテナントSaaS市場で急成長している企業だ。CRMが新たな分野にまで拡大していることについてはすでに触れたが、Oracleが行っている買収は、それらの重要な分野への戦略的な足がかりだ。Eloquaはパイオニアであり、今では重要な分野となったデジタルマーケティングの自動化の領域で市場リーダーとなった。これはOracleが2012年中頃に行った、ソーシャルマーケティングや分析クラウドを提供するVitrueとCollective Intellectの買収を補完するはずだ。また、1年前に買収されたRightNowは、従来のコールセンターからソーシャルメディアに至るまで、幅広い接点を展開する企業だ。
最後に、当然ではあるが、エンタープライズCRM市場において中心的な役割を果たす企業としてのOracleも見逃すことはできない。同社が提供するCRM OnDemandと「Fusion CRM」のアプリケーションは、マルチテナントアプリケーションとして動かすことができるという触れ込みだ。ただし、私の意見では、もし顧客が同じコードを社内で使うために動かしたとしたら、クラウドアプリケーションとしての効果は大幅に低下してしまうだろう。
その他のクラウドマーケティングベンダー。新しいソフトウェアスタックに軸足を移したエンタープライズソフトウェアについて初めて記事を書いたとき、私は10年前にはほとんど存在しなかった市場のリーダーとしてMarketoを挙げた。(Eloquaも参加している)この市場は、依然として急速に進化を続けている。Marketoは2012年にソーシャルマーケティングベンダーであるCrowd Factoryを買収したが、より新しい競合企業が同社を激しく追い上げている。このような形でいくつかの強いベンダーをひとまとめにして扱うのは残念だが、スペースの都合があるため、ここではPardotやHubSpot、そしてGenius、Aprimoなどの名前だけを挙げておく。特に言及しておきたいのはInsideViewで、この会社はセールスおよびマーケティング自動化アプリケーションにあらかじめ整理された情報をフィードし、もっとも期待できる見込み客のタイムリーな発見を支援するサービスを提供している。